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「新型コロナ・ワクチン開発って、...」、@hirosetakao さんからのスレッド

新型コロナ・ワクチン開発って、どうなのよ? 全てがスッキリわかる解説をします。

まず現在世界で97もの新型コロナ・ワクチン開発プロジェクトが動いています。(このうち成功するのはたぶん1~3つくらいでしょうね)

ワクチンは様々な創薬の分野の中でも最も難易度が高いと言われています。一例としてHIVエイズが登場して40年経ちましたが各社の努力の甲斐もなく、まだひとつのワクチンも存在しません。

新型コロナウイルスは「コロナ系」の伝染病(他にはSARS、MERSなど7つくらいあります)のひとつですけど「コロナ系」の伝染病どれひとつとっても過去にワクチン開発に成功した例はありません。

いま試みられている新型コロナウイルス・ワクチンのプロジェクトは大きく分けて①mRNAを使ったものと②伝統的な手法に大別できます。このうちmRNAは遺伝子情報からワクチンを開発する試みであり、ノリとしてはソフトウェア開発に近いです。

mRNAは①プロトタイプ作成に要する時間が極めて短い、②ワクチンを打っことで間違って疫病そのものに罹ってしまうリスクは無い、③混じり気が無いので安全性は高い④量産が比較的カンタン……などのメリットが指摘されています。

その反面、mRNAワクチンは過去に成功した事例はゼロです。全くの新しい技術。

「ウチもワクチン開発に乗り出します!」と大風呂敷を広げることは誰にでも出来ます。でもその殆どは頓挫する。

ただ「あの会社がワクチンの開発に乗り出したぞ!」ということで大喜びし、あたかもワクチンが完成したように得心、満足している投資家は馬鹿。そんなに甘くありません!

だから我々は(どうせ全てのワクチン開発プロジェクトが空振り三振に終わる…)という大前提に立ち、頓挫してもOKなトレード・ストラテジーで臨む必要がある。

言い直せば「臨床の結果が近く判明する…」というタイミングでは買いのポジションを放置しないこと!=いつ悪い知らせが飛び込んでくるか、わからない。→即、半値。

臨床試験のenrollment、つまり被験者を募っているときが、トレードのタイミングとしては一番安全。今日、モデルナ(MRNA)がぶっ飛んだのは、いまちょうどそのタイミングだから。言い換えれば「期待はMaximum、リスクはMinimum」な局面。

モデルナは97ある世界の新型コロナ・ワクチンのプロジェクトで最も早くワクチンを完成し米国政府に納品した企業です。これが切り込み隊長。

モデルナのワクチンの臨床は、NIHがじきじきに行っています。先日、第2相臨床試験に「GO!」サインが出たばかり。6月までは引っ張れるかもしれないけれど、ひょっとすると「やっぱりダメだった!」というニュースが出るリスクが、後になればなるほど高くなる。早乗り早降りに徹せよ!

モデルナは米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から515億円のR&D支援金を獲得しています。米政府がこの企業に肩入れしている証拠。

モデルナは確りしたR&D力に加えて自社でワクチンを量産するバイオ工場をマサチューセッツに所有しています。それも差別化要因。

モデルナと僅差で同じく臨床に進んでいる企業にバイオンテック(BNTX)があります。バイオンテックはファイザー(PFE)の後ろ盾を得ています。バイオンテックの場合もmRNAによりワクチン開発しています。相違点としては4つのワクチン候補を同時に走らせることでリスクを分散している点です。

ワクチンをどの国が最初に手にするか? それは経済、ひいては国家安全保障上の一大事。だから政治色が色濃く出ます。バイオンテックはドイツ企業。実際、臨床は米国よりドイツの方が一足先に開始されています。ただ同社のパートナーはファイザーであり、米国での臨床、生産も大きなスケールになりそう

米国政府はワクチン・プロジェクトの乱立を好まず、たぶん4つくらいのプロジェクトに絞り込んで、それらを重点的に支援することになると思います。たぶんバイオンテック/ファイザー連合も、その4プロジェクトのひとつに潜り込むと思う。

バイオンテックはドイツのマインツ大学の研究室が発展して民間企業になりました。マインツ大学はドイツ屈指のリサーチ・ユニバーシティーのひとつ。アメリカではそれほど知られていない企業です。株価的にモデルナより出遅れているのは、そのため。

これ以外のワクチン・プロジェクトは反吐が出そうな貧弱なチームが多い。関わらない方が得策。

その中で異彩を放っている企業が「ワクチン製造下請け」のエマージェント(EBS)です。これは半導体ファンドリーのような存在だと思えばいい。

(なんだ下請けか!)と馬鹿にしないで。なぜならそもそも大量にワクチンを製造するキャパシティ自体が、とても限られているから。世界でガッツリとワクチンを量産できる施設は5つくらいしかない! EBSはそのひとつ。ジョンソン&ジョンソンですらワクチン開発に際してはEBSと組まざるを得なかった。

EBSはもともとミシガン州保健局の官営ワクチン工場を払い下げてもらったベンチャー。だから政府とのつながりは強固です。一例として国防省向け炭疽菌ワクチンは米国でここでしか作ってない。

さて、ここでトランプ大統領の「Operation Warp Speed(爆速ワクチン計画)」に言及しないといけない。これは普通なら10年くらいかかってしまうワクチンを来年にでも完成させようという野心的な計画だ。

10年を1年に短縮するのだから、すべての所要時間を削らないといけない。米国政府に出来ることは何? = それは未承認のワクチンでも「決め打ち」して「おまえと、お前と、そこのお前! おまいらは見込みありそうだからFDAからの承認を待たず、これからワクチンを量産せよ!」と指示すること。

つまり「ダメもと」で大量のワクチンをあらかじめ「作り置き」し、「承認が出た!」となったらそのタイミングで「ほいきた!どん!」と備蓄を放出する用意をするわけだ。4つのワクチンのうち3つは廃棄処分だろう…でもそれで救える人命や経済効果を考えれば、政府にとりこんな安上がりの投資は無い。

そこで話はEBSに戻って来る。EBSは既にノヴァヴァックス、ヴァックスアート、ジョンソン&ジョンソンの下請けとしてワクチン製造に乗り出す契約を交わしている。それらクライアント企業のワクチンがペケでも、ちゃんと手間賃は貰える。

つまり「壮大なムダ」「馬鹿げたワクチン備蓄」で確実に儲かるのは、その製造を担当する下請け会社ということ。
これこそが究極のローリスク・アプローチ。

いまアメリカと中国の間では「ワクチン戦争」が勃発しています。これはスプートニク・ショック、「地球は青かった」のユーリイ・ガガーリンに代表される米ソ宇宙・核開発競争を彷彿とさせます。

いまアメリカと中国の間では「ワクチン戦争」が勃発しています。これはスプートニク・ショック、「地球は...

アメリカはスプートニク・ショックを契機として科学の基礎研究に莫大な国家予算を割り振り始めました。株式市場では〇〇トロニクス、〇〇トロンという名前のついた株が一斉に爆騰しました。これが第一次ハイテク・ブーム。

いま、それに似たことがワクチンの世界で起きている。

あなたがいま学生でバイオを勉強しているなら、悪いコトは言わない。アメリカ来なさい。遥かに大きな舞台で活躍できるから。創薬分野での米国企業の支配は、GAFAどろこりゃないぜ。あと中国人研究者はこれから冷や飯を喰うことになる。日本人が活躍できる。

フロリダの田舎でワイフと老後を過ごしています。

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  3. 2020/05/09 05:48:38 公開
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