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「さて、これまでのスレッドで、PCR...」、@sunasaji さんからのスレッド

さて、これまでのスレッドで、PCR検査の感度特異度は十分高く、理論的にも実績上も有用であり、精度を口実にPCR検査抑制を主張するのは妥当ではないことを説明しました。
引き続き、PCRに関するよくある誤解について解説していきます。

死んだウイルスのRNA断片がたまたま鼻腔や喉についていて、それが検出されただけである可能性もあるからやはり偽陽性はあり得るという人もいます。その可能性はゼロではないですが、そのタイプの偽陽性が、検査で判明する真陽性と比べても、多量に居るかどうかが問題です。

RT-PCR検査では、ただでさえ壊れやすいRNAを抽出してDNAに逆転写して更に増幅できた人が陽性となるわけです。だから、そういうウイルスの死骸みたいなものを検査時点でたまたま鼻の中に複数保持している人が偽陽性になることよりも、実際にウイルスを持っていた可能性の方を先に心配した方が良いです。

全員検査や大量検査すると検査で感染拡大するため検査するべきでないという説も根強いです。
しかし検査が感染拡大の主因だとする信頼できる論文は見当たりません。
仮に検査場での感染があるとしても検査しなければ感染拡大しないとは言えません。
検査場外で市中感染が広がる可能性があるためです。

そもそも検査で感染拡大するのであれば、検査方法を改善するのが筋です。
あえて検査をしない策を取りたいならば、感染防止しつつ検査と隔離をやることよりも、市中や家庭内感染を放置しつつ検査しないことの方が、拡散の速い感染症の拡大を抑止できることを示してからにするべきです。

また、全員検査を藁人形にして叩く論調がありますが、そもそも現状では有症者の検査すら満足にできていないことが問題となっているのです。電話相談窓口にすら繋がらない状況が数カ月は継続しています。全員検査の是非を語るのは有症者の検査がスムーズにできるようになった後にやればよいと思います。

ちなみに私は現時点で全員検査はするべきでないという立場です。なぜなら有症者や医療関係者の検査も十分にできていないように見受けられるので、そちらを優先するべきであると思うためです。

ちなみにLineの全国調査では発熱者は0.11%,0.13%,0.15%,0.13%と推移していたので、有症者を全検査するのは不可能な話ではありません。たとえば東京都1400万人の0.15%は21,000人です。全員が同時に発症するわけではないので、1日あたりの検査数はより少なくて済むと思われます。

日本では、CTがあるから感度良くまたは効率良く陽性者を見つけられている、という言説も見かけます。

確かに初期にはPCRが陽性にならずCTで所見が見られる場合がある以上、CTが有効に活用できるケースはあるでしょう。しかしそれは、検査の感度を上げて陽性者の見逃しを減らすために使えた場合の話です。たとえばPCR陰性だけれどもCTで異常を認め、再度PCRを実施して陽性を発見できた場合などです。

しかし日本では、帰国者接触者や発熱4日やCTで重症肺炎が見られた患者に限るなどの、検査を抑制する口実としての運用が各地でなされ、結果としてPCR検査数はなかなか伸びません。それだけではなく、電話相談窓口にもつながらない状態が数カ月続いているので、それも含めれば見逃しは更に多くなります。

たとえばPCRだけの感度が70%だったとすると、真陽性者の7割が陽性となります。一方で電話で検査をたとえば半分に絞り、重症者に限ることで20%に絞り、更にCTの感度で98%に絞り、更にPCRに掛けたら、感度はたった6%にまで下がります。
検査抑制すれば見逃しが増えるため実質的な感度は低下するのです。

一方で、PCRの特異度はもともときわめて高いので、多少事前確率を上げたところで、ほとんど向上しません。向上したとしても、たとえば0.05%以下となるでしょう。それよりは、検査を絞ることにより真陽性者が見逃されて野放しになることで、感染が拡大してしまうことの方を心配するべきです。

つまり、たとえCTが豊富にあったとしても、検査を抑制すれば感度はむしろ下がります。そのうえ、特異度が向上する効果はごくわずかであると言えます。それでも検査を絞るならば、検査から漏れた人から感染拡大することで、結果的にかえって医療の負荷が増える可能性を排除してからにするべきです。

ちなみに、日本ではPCRの前にCTを取って肺炎者を選別する運用が見られますが、このように共通検査によって対象者を選別することをスクリーニングといいます。
そしてCTは、COVID-19のスクリーニングに向いているとは言いづらいのが実情です。

日本環境感染学会はスクリーニングとしてのCT検査は推奨していません。
PCR陽性でもCT陰性となる場合があり、偽陽性例の影響が高く、検査対象が膨大となると対応が難しく、CT室の清潔整備も必要で、X線被曝もあるためです。
kankyokansen.org/uploads/upload…

日本環境感染学会はスクリーニングとしてのCT検査は推奨していません。 PCR陽性でもCT陰性となる場合があ...

スクリーニングは本来ならば多数の人を対象に実施するものなので、特異度が高く偽陽性の少ない検査が適します。また、感度が高いほど見逃しも少なくなります。さらに、侵襲性が低く、スループットが高く、結果が明瞭で、コストパフォーマンスが良いものが適します。

全国医学部長病院長会議は「COVID-19には科学的に対応することが必要。入院患者の中には無症状のCOVID-19の患者もおり、スクリーニング的にPCR検査をしなければ院内感染の危険が高まる。COVID-19による医療崩壊を防ぐためには、院内感染を防ぐことが重要課題だ」としています。m3.com/open/iryoIshin…

さて、日本では効率良く陽性者を見つけられているという点についてはどうでしょうか。
効率の定義を、PCR検査の陽性率の高さだとするなら、肺炎者に限れば高くなるのはそうでしょう。
しかし、そもそも陽性率が高い方が良いという捉え方に問題があります。

一般に、陽性率が高いことは、疫病の蔓延または検査数の不足を意味するので、そもそも陽性率が高いことを目指すのは、方向性が誤っています。むしろ、陽性率は低ければ低いほど良いのです。なぜならば、陽性率が低いほど陽性者が少なく、疫病の蔓延が抑制できていることになるためです。

検査のし過ぎは問題ではないかという見方もあると思います。しかし、感染拡大の速い感染症では、検査にかかるコストよりも感染が広がることの方が社会的なコストが高くなる場合があります。
COVID-19は、拡大が広がると経済影響の大きい自粛やロックダウンが必要となるため、それに該当します。

つまり、陽性率が低いことは問題ではなく、むしろ目指すべき姿なのです。陽性率の高さを効率の良さと見誤ってはならないのです。
日本では、陽性率が少ないことを、検査の無駄であるとか、検査を受けて安心したいだけの人が殺到しているなどと否定的な評価をする人が見られますが、全く話が逆です。

陽性率が低いときに、何度検査をしても陽性者が見つからず、無駄なことをしているように感じる医療関係者もいるとは思います。たくさんの検査を過剰な忙しさの中でやって下さっていることとも思います。
ただ、その陽性率の低さは誇れることであって、決して無駄なものではないのです。

たとえ見つかる陽性者がわずかであったとしても、見つけて隔離できた陽性者は、どこかで大規模クラスターの一因となる症例だったかもしれないですし、愛する誰かを感染させて後悔する例だったかもしれないですし、数日後に急速に悪化する例だったかもしれないわけです。早期発見は防疫の鍵なのです。

そもそも感染症対策の基本は、検査と隔離と治療です。日本は検査と隔離の体制は弱かったですが、感染速度の速くない疾患に関しては乗り切れました。しかし、COVID-19は感染拡大が速すぎましたし、院内感染や集団感染も多発しました。広がるからこそ、検査と隔離が要るのです。
jmedj.co.jp/journal/paper/…

だから、外国では臨時病院を立ててでも軽症者の隔離をしていたのです。
日本でも宿泊施設での隔離などの取り組みはありますが十分とはいえないですし、検査しなくても感染拡大しないという根拠のない仮説も根強いように思われます。
それは理論的かつ検査データ的に証明してから採用すべき仮説です。

ところが日本では、肺炎になるまで検査すらせずに解熱剤を渡して返すような運用が見られます。発見できる機会をみすみす逃して、検査の感度も下げて、市中感染を促進しているとしか言えません。肺炎になった頃には濃厚接触者も膨大となり、頼みの綱のクラスター対策も容易でないこともありえます。

だから、専門家会議も検査体制の更なる強化を打ち出しており「前駆症状や初期症状の解明を含む早期診断により、早期の医療提供・感染拡大防止につなげていく検査体制の拡充」をすると言っているのです。検査抑制派は、既に潮目が変わったことを認識しておくと良いと思います。niid.go.jp/niid/images/ep…

そもそも検査とクラスター対策は車の両輪のようなもので、片方だけで良いことはありえないのです。濃厚接触者のクラスターを追跡しない検査では漏れが発生して感染拡大が続きますし、検査が足りなければクラスターの捕捉やクラスター発生条件の究明にも支障が出ます。

後でまた触れますが、偏った検査基準で見つかる陽性者からは、偏ったクラスターが多く見つかることになります。検査が広く行われない限り、クラスターが見つからなかったことはクラスターが生じないことの根拠にはなりませんし、クラスター発生を抑止できている根拠にもならないことに注意すべきです。

感染症対策の基本は検査・追跡・隔離・検疫です。
新規感染は10日で2,4,8,16,32,64,128,256,512と増えます。重症者・死亡者も比例します。
医療資源はこうは増やせないので逼迫します。
感染連鎖を断つには行動規制か検査隔離が有効で後者が安価です。
追跡班の人手はすぐ増えないので早期徹底検査が必須です。

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  2. suna
  3. 2020/06/03 19:14:20 公開
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