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「イージスアショアのブースターが...」、@ohnuki_tsuyoshi さんからのスレッド

イージスアショアのブースターがどこに落ちるかわからないって問題が出てきてますが、宇宙ロケットや観測ロケット(ISTのMOMOとか)は、「落ちる可能性がある範囲」とあらかじめ設定した範囲を逸脱する可能性が出てきた場合は、飛行を止めて予定の範囲に落下するような制御をします。

自衛隊のイージスアショアの場合、飛んでくるミサイルのコースに合わせて迎撃ミサイルを発射しないといけないので、相手のコースによってブースターの落下位置が変わってしまう。じゃあ民家に落ちる可能性があったら、迎撃を中止する判断をするのか?そこが難しいわけです。

M-VロケットまでのISAS固体ロケットは、発射台を海へ向けて傾けることで、最初から「海にしか落ちようがない」コースで飛ばしていました。現在のイプシロンロケットやH-IIA、MOMOなどは垂直に発射し、すぐに海へ向けて傾ける制御をします。

この方式の場合、ロケットを傾ける前にトラブルが起きると、発射場周辺に墜落する可能性があります。そのため、たとえば種子島宇宙センターの場合、発射台から半径3km以内は打ち上げ時に立ち入り禁止になります。逆に言うと、この範囲内には「トラブルの場合は墜落の可能性がある」ってことです。

で、トラブルにもいろいろあるのですが、今までに話していたのは飛行中のロケットが制御不能になったり爆発したりするような場合です。例えば先日のMOMOみたいに、トラブルが起きて機体が回っちゃったとか。そういう場合でも「想定した範囲の外には落ちない」ように計画してるから、MOMOは安全です。

それ以外にも、実は日本では経験していないトラブルってのがあって、それは「有人宇宙船からの脱出」です。有人ロケットの打ち上げ準備中や飛行中にトラブルがあった場合、有人宇宙船だけをロケットから切り離し、非常用ロケットで引き離して、爆発に巻き込まれないようにします。

で、実はこれ日本では結構な問題で。というのも、たとえばアメリカ製の有人宇宙船を買ってきて、日本のH3ロケットに載せて種子島から打ち上げるとします。でも、打ち上げ前にトラブルが起きて、脱出を決断したとする。分離した有人宇宙船は、どこに落ちるのか。

実は、種子島宇宙センターの安全距離である3kmを超えてしまう可能性があるんです。ケネディ宇宙センターの場合、サターンの頃から5kmの安全距離を確保してるので、アメリカの宇宙船はそれに合わせて作っちゃってるから。

なので、もし日本で有人宇宙船を打ち上げるとなると「3km以内に落ちるように脱出ロケットを設計するか、種子島宇宙センターの安全距離(打ち上げ時の避難範囲)を広げるか」という問題が生じます。少なくとも、アメリカから買ってきてポン付けするだけじゃダメ。

「世界」を宇宙に拡げることを仕事にしたいと考える自営業者。主な仕事は科学ライター。主な趣味はパラグライダー。フォローしていない方のmention通知は切っているので気付かないことがあります。お仕事に関する依頼・お問い合わせは contact@下記URLのドメイン のメールへお願いします。アイコンは自撮り(FaceApp

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  2. 大貫剛
  3. 2020/06/15 23:37:19 公開
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