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「早生まれの子供は学力でも体力で...」、@sy_mc さんからのスレッド

早生まれの子供は学力でも体力でも他の子供に遅れを取りがちです。しかも、この生まれ月による差は年齢が上がってもなかなか解消されません。その背景には何があるのか、そこには政策上どんな意味があるのか、私達の研究を紹介します 1/11
https:/papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3632546

早生まれの子供は学力でも体力でも他の子供に遅れを取りがちです。しかも、この生まれ月による差は年齢が...

このグラフは、認知能力を年齢別に示したもので、年齢が上がるにつれて認知能力は上昇します。同じ学年内でも年少の子の認知能力は低く出ていますが、学年が上がるにつれて縮小しています。こうした結果は割とよく知られているのですが、私たちが驚いたのは次の結果です。2/11

このグラフでは、非認知能力を年齢別に示しました。思春期に非認知能力が下がることは知られていますが、学年内では相対的に年長の子が高い非認知能力を持っています。そして、相対的な年令による差は学年が上がっても小さくなりません。これは私たちの知る限り新しい発見です。3/11

ちなみに早生まれの不利は高校入試にもあらわれています。3月生まれと4月生まれで入学した高校の偏差値を比べると、4.5も違います。4/11

こうした背景に何があるのか、子供たちの学校外での活動や人間関係についても検証してみました。その結果、早生まれの子供ほど、学校外での学習時間と読書時間が長く、通塾率も高いことがわかりました。これらは認知能力の改善に寄与すると考えられます。5/11

一方、クラスメートや先生との人間関係について尋ねた質問への回答を見ると、早生まれの子供たちは、こうした人間関係がうまくいっていないと回答しています。また、スポーツなどへの参加率は低いこともわかりました。これらは非認知能力の発達に悪影響をもつ可能性があります。6/11

因果推論警察の皆様におかれましては、家計所得や出生時の健康状態と生まれ月が相関しているのではないかと思われるかもしれませんが、就学援助の受給(低所得の指標)や出生体重とは相関していませんでした。少なくとも、そうした要因が結果を引っ張っていることはないだろうという認識です。7/11

さて、早生まれの子供は不利を跳ね返すために、塾通いをしたり勉強量を増やしたりしています。これは同学年の子供との比較に引っ張られる形で補償的な人的資本投資をしていることを示していると思われますが、短期的にはともかく、長期的な最適ではない可能性があります。8/11

また、先行研究によると、早生まれの不利は大人になっても消えず、30-34歳の所得が4%低くなるそうです。この背景には入試制度が早生まれの不利を固定化する方向に働いてしまっていることと同時に、上記のような理由で早生まれの子供の非認知能力が育っていないことも影響していると思われます。9/11

こうした早生まれの不利は制度が生み出しているものであり、解消すべきと考えます。解決のひとつの方法は、少なくとも入試などの重要な場面においては生まれ月の影響を補正した点数や評価を導入するというものです。生まれ月にかかわらずフェアな社会を! 10/11

コロナ禍に伴う休校の影響で検討された9月入学ですが、この研究結果を踏まえると、幼稚園の年長さんを繰り上げで小1にしてしまうというやり方は、学年内の年齢差を拡大するため、大きな副作用を伴うはずです。11/11(終)

(おまけ)どうでもいい話ですが、私自身は4月生まれです

東京大学経済学部教授。『「家族の幸せ」の経済学』(amzn.to/2xBsU0s)でサントリー学芸賞受賞、週刊ダイヤモンドベスト経済書第1位。専門は家族の経済学と労働経済学。これまでに書いた論文や一般向け記事などは下のリンクから。

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  2. 山口慎太郎
  3. 2020/07/30 07:49:17 公開
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