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「インフェルノ後の世界「野々山編...」、@qtaro201611 さんからのスレッド

インフェルノ後の世界「野々山編」

今書いてる人狼ゲーム(2020)は間もなく終結するので、インフェルノの後に野々山を待ち受けている運命について書いてみたい。

向と同時に描こうと思ったが散漫になりそうなので、野々山に限定する。
こいつ嫌いだし、これから色々と苦労していただきますわよ(笑)

最初のうちは流れ上、向も登場するが、徐々に消えていき、野々山の、おもに出所後の苦労に満ちた人生を描く。
インフェルノ最終日、向は愛する水谷が野々山に襲われる悲しみに震えて、1階ロビーで泣いていた。
2階では野々山が、人狼としての最後の仕事をしていた。
しかし警察はすでに到着していた。

警察は野々山と向に対し、取り扱いに違いが生じると思われる。
野々山は現行犯逮捕、向は形の上では任意同行だがほぼ強制的に連行し、容疑が固まり次第逮捕、よって野々山よりも色んな捜査が遅れていくだろう。

野々山は運営については知らないし、自分の知ってることは素直に話すと思う。

しかし向は運営について知っていても、なかなか語らないと思う。

さて、人狼ゲームの内容はともかく、野々山も向も客観的には二人ずつ殺害しているから(野々山は馬渡と水谷、向は辻と宮下)やはりタダではすまないだろう。
もちろん高校は退学処分、そしてしかるべき施設に送られると思われる。

今後の創作では向亜利沙の人生には触れず、野々山紘美だけを取り扱う。

高校2年生だった野々山紘美が、演じている武田玲奈の実年齢に達するまでの6年間、しかるべき施設に入れられ、23歳の誕生日である2020年7月27日に出所したところから物語は始まる。

ここまでを序章とし、次回から本編が始まる。

第1章 出所

人狼ゲームロストエデンで、向亜利沙の家庭については少し出てくるが、野々山紘美の家庭については全く触れられていない。
しかし、野々山は向よりもしっかりした家庭で育ったように思われる。

そこでイメージが浮かぶように、両親を俳優、女優から選ぼうと思う。

父親役 長谷川博己

母親役 綾瀬はるか

イメージできただろうか?野々山紘美が育つ環境としては申し分ないと言える。

さて、野々山家は父の転勤により4月から岐阜県岐阜市に引っ越していた。

ちなみに私は岐阜市に路面電車があった時代に、数回ここを訪れているが、住んだ経験はない。

しかし、路面電車が廃線になったと聞いた時に残念だと思ったことを覚えている。
だから、この創作では岐阜市に路面電車を復活させるだけでなく、私の都合で路線を一部変更する(笑)
地名などはだいたいネットで調べたものだから、地元の人にとっては変に感じるところがあるかもしれないが、ご了承を。

施設にいる時の面会で、両親による叱責は終わっているので、二人とも暖かく紘美を迎え、家族三人で岐阜の新居に帰っていった。

帰る途中で、父は紘美にこんな提案をした。
「お前はこれから岐阜で新しい人生を始める。
ここで思い切って、名前を「博美」に変えてみないか?」

母「浩美とか弘美とかも考えたけど、お父さんと相談して、博美がいいんじゃないかって」
紘美「野々山博美かあ?いいね」

父「ああそれから、この地方では『ののやま』の二つ目の『の』を一番高く発音するんだよ。
の『の』やまひろみ・・・言ってごらん」
紘美「の『の』やまひろみ・・・難しいね」

紘美「お父さん、私、高校に行きたいんだけど」

ここから創作裏話・・・
野々山の転校先を考えるにあたって、岐阜駅近辺を探してみたんだが近くに高校はなかった。
一番近いところで、岐阜駅から南へ2キロ弱のところに、人の名前みたいな高校があったので、それをモデルとする。

ただ、実在する高校をモデルにして万一、関係者に迷惑がかかるといけないので、高校名は変形し、鹿(か)野高校と命名する。

野々山紘美を演じている武田玲奈は比較的童顔なので、23歳で高2になっても十分通用すると思う。
だから先生方には事情を話し、生徒たちには年を6歳ごまかしての転校となる。

昔「35歳の高校生」というドラマがあったが、あんな悲惨なことにはならないだろう。

それに、野々山は苦労しただけあって、ロストエデン時代の鼻っ柱の強さは失われ、かなりおとなしい女の子に変貌していた。
施設にいる間は髪も切らなかったので今やスーパーロングヘア。
女子力は格段にアップした。

元々、野々山の髪質は綺麗だったが、美容院で最新の技術を駆使して磨きをかけた。
こうして史上最強の野々山が誕生したのである。

創作に戻る・・
新幹線は名古屋に到着し、そこからJRで20分弱かかって岐阜に到着した。
そこからは2005年に廃線になった路面電車で又丸まで行く。
その近くに家がある。

又丸は岐阜市の西端にあり、野々山家から少し歩くと本巣郡北方町に入る。
高校通学時には、今はなき路面電車で岐阜市をゆっくり眺めることができ優雅な時を過ごせるが、問題は岐阜駅からである。
鹿野高校のモデルになった高校のホームページを見ると、そこの生徒は岐阜駅からバスで通学してるらしい。

それでは不便だから、路面電車をさらに南に延ばし、鹿野高校前という停留所を作る。
地上を走るのは邪魔だろうから、地下にもぐればいい。
ついでに、鹿野高校前から岐南町駅あたりまで延ばしたら地元の人にとっても便利になるのではないだろうか?
とにかくワシは野々山を路面電車で通学させるのだ!

野々山家到着。この日は特上の寿司をとることにし、ささやかなお祝いをした。
紘美も23歳、お酒も飲める。
紘美がロストエデンの運営に連れ去られてから、初めての安らぎであった。

次の日、紘美の改名手続きをした。
人狼ゲームで人生棒に振った野々山紘美はもういない。
新しい野々山博美の誕生だ。

9月1日、リニューアルした野々山博美は鹿野高校に転校した。
男子が一斉にため息をついた。
そうなのだ・・・野々山博美は美しかったのだ。
23歳にしては童顔・・・だから17歳としては普通だ。
女子も「かわいいかわいい」とかなり興奮していた。
「初めまして、野々山博美です。又丸に住んでます」

野々山は歓迎された。
今は新しい野々山博美であって、強制されたとはいえ犯罪に加担した野々山紘美ではないと、何度も自分に言い聞かせた。
6年前の事件に関係があるなんて、誰も気づくはずがない。
実際、刑事事件として有名になっただけあって、人狼ゲーム自体が危険な遊びとしてタブー視されてた。

「ロストエデン&インフェルノ事件」により、ひとクラスの約半数が犠牲になったことは社会に衝撃を与えた。

これを名倉、照屋両刑事が徹底的に捜査したことで社会問題になり、人狼ゲームは完全に廃れてしまった。

実際、鹿野高校の生徒の多くは人狼ゲーム自体知らなかった。

野々山の新しい生活は幸せだったが、悪夢にも悩まされた。
言うまでもなく、自分の正体が鹿野高校の同級生にバレてしまう夢である。

「そんなことは起こり得ない!絶対に大丈夫だ!」と何度も自分に言い聞かせるものの、不安は常につきまとっていた。

これから鹿野高校の生徒がたくさん登場するが、すべて人狼ゲーム参加者の名前を組み合わせて作る。

男子生徒→女子の名字&男子の名前
女子生徒→男子の名字&女子の名前

この組み合わせのうち、名前としておさまりのいいのを選ぶ。
野々山博美の同級生の中で、最も重要な男子に佐藤克彦がいる。

授業が終わると佐藤克彦、結城弘人、小澤正敏の3人は野々山に学校近くのアピタへ遊びに行こうと誘った。
男3人、女1人の構成に戸惑いつつも、野々山博美は応じた。

4人はフードコートで食事をしていたが、佐藤克彦は途中でTwitterをいじり始めた。
野々山は施設にいる間、6年間SNSをやらなかった。

小澤正敏「野々山さんはTwitterやらないの?」

野々山博美「前にやってたことあるけど、クソリプ増えてやめちゃった」

結城弘人「そんなの片っ端からブロックしちゃえばいいじゃん?」

佐藤克彦「新しい環境での生活が始まったんだから、僕たちと一緒にTwitterやろうよ」

野々山博美「そうね…ちょっと待っててね」
そう言うとスマホを取り出し、数分でアカウントを開設した。
名前は「博美」とだけ記入しておいた。
この日から4人で、Twitterでも交流するようになった。
鹿野高校の生徒は、鶴ケ丘高校(人狼ゲーム開始前に野々山が通ってた学校)の生徒よりも真面目だった。

ロストエデンの鶴ケ丘高校を検索すると、東京杉並区にある日大系列の高校がヒットするが、その高校のことではあるまい。
偏差値がそこそこ高いので、馬渡や八重樫あたりではとても入れないからである。

だから、私の創作の中では「聖ロストエデン学園高校」という名前にしている。

トイレ休憩になると野々山は一番遅くなるが、
彼女はしおらしく「ごめんなさい・・・遅くなって」と言うので、
佐藤は鼻の下を長くして「女の子は時間かかることくらいわかってるから」
野々山は佐藤、結城、小澤の男3人が、まさか彼女が用を足している姿を想像しながら待ってるなんて思ってなかった。

野々山は幸せだった。そしてこの幸せはいつまでも続くと思うようになった。
最近は悪夢も見なくなっていた。

野々山は転校してから、勉強はそこそこできて、クラスで中の上くらいであった。
しかし歳すでに23歳、16歳や17歳の子たちと一緒に体育の授業を受けるには体力が足りなかった。

走ったりするとひどく疲れたりするが、野々山は勉強はそこそこできて運動は苦手というごく普通の子としてクラスに受け入れられていた。
担任は事情を知っていたが、真摯な対応をしてくれた。

野々山は男子の間で人気が高かった。
以前のように正義感をふりかざすこともなく、おとなしい女の子だった。

10月に入ると、野々山にもかつての浅見ルナのような親友ができた。
川崎麗子という名前で、「博美」「麗子」と呼び合っていた。
浅見ルナと違って、川崎麗子は何でも隠さずに話してくれる友だった。
今度は野々山の方が秘密いっぱい抱えていて、申し訳ない気持ちだった。

野々山は男子にも女子にも好かれ、友達も増えていき、Twitterのアカウント名に野々山をつけ加えてフルネームにした。
写真なども挙げて、公式アカウント的なものになっていった。

以前悩まされた悪夢も、いつの間にか見なくなり、自分の正体がバレることへの不安も薄らいでいった。

野々山が男子で一番親しくしていたのは佐藤克彦だった。
11月に入った頃、佐藤のアカウントに小日向理紗という見知らぬ人が時々来て、リプやいいねをしているので、佐藤にどんな人なのか聞いてみた。

佐藤「Twitterで知り合った人で、どこに住んでるかも知らない。
ただ、高2ということだけ知ってる」

野々山「ネット上の友達?それもいいね」
佐藤「うん」

佐藤の態度がいつもと違っていた。
その後も野々山は佐藤、結城、小澤からアピタに誘われることはあったが、その頻度は9月、10月より減っていた。
自分の正体がばれたのでは?という心配はしなかったが、自分の態度に問題があったかもと考えた。

Twitterでも、9月10月と順調にフォロワー数を増やしてきた野々山が11月は伸び悩み、12月に入ると少しずつリムられるようになってきた。
佐藤は相変わらずネットで知り合ったという小日向理紗と楽しそうに話している。
野々山は自分の態度に問題があると考え、正体がバレた可能性には思い至らなかった。

野々山は転校当初、自分の正体がバレることを恐れ、悪夢も見ていたが、今やその可能性を頑固に否定する人間に変わっていた。
自分は単に飽きられただけかもしれない。
本当に正体がバレたなら、みんなもっと露骨に態度が変わるはずだ。
実際、12月の初め頃は、たまに佐藤たちがアピタに誘ってくれた。

しかしクリスマスの頃になると、野々山は誰からも、親友の川崎麗子からも遊びに誘われなくなってしまった。
野々山はさすがに心配になってきた。
正体がバレたのではないかと…
ただ、学校生活でシカトされたりすることはなく、昼休みも一人ぼっちではなかった。
野々山は悶々としたまま新年を迎えた。

年が明けてしばらくすると、川崎麗子は放課後、野々山を学校近くのカフェに誘った。
野々山はやっと誘ってくれたと喜んだ。

しかし、そこで麗子から聞いたのは思いもよらないことだった。
麗子「博美、お願い。
本当のことを言って。
博美はいくつなの?」

野々山は全身から血の気が引く思いがした。

野々山の動揺は麗子にバレてしまったから、変にごまかしても意味がない。
それよりもどこから、どんな情報を得たのか確かめたかった。

博美「あの・・・誰から・・・何を聞いたの?」
麗子「実は・・・佐藤君。彼はとてもいい人で、噂を拡散するためではなくて、博美のこと本当に心配してるの」

麗子「私が博美の親友だからということで、佐藤君が私に相談してきたのよ。去年のクリスマスの頃にね・・・
で、今日も近くで待機していて、博美の了承が得られたら3人で話そうという計画になってるの」

博美「それは助かる。佐藤君を呼んでくれる?」
麗子「わかった」
麗子は佐藤克彦を呼び出した。

佐藤がやってきた「ごめんね。回りくどいことして」
博美「いえいえ・・・気を遣ってくれてありがとう。
もう決心がついたから全部話す。
佐藤君も知ってること全部教えてね」

佐藤「わかった。
僕にネット内だけの友達がいるのは知ってるよね?」
博美「小日向理紗という人だっけ?」

佐藤「理紗の友達が、6年前に人狼ゲームでお兄さんを亡くしてるんだ」
博美「そのお兄さん、何て名前?」
佐藤「水谷和希。その妹が夕希。その友達が小日向理紗というわけ」
博美は水谷和希という名前を聞いてショックを受けた。
水谷こそ、博美(紘美)が最後に直接手を下した相手だったからである。

ここで一つネタばらし・・・

さっき佐藤が言った「水谷和希の妹が夕希で、その友達が小日向理紗」は、小日向理紗=向亜利沙による作り話である。
つまりこの話は、向亜利沙による野々山紘美への壮大な復讐劇なのである。

さて、そんなことなど知らない彼らはこの事態にどう対処するか?

これは野々山の伝記なのだが、向亜利沙が小日向理紗という名前を使って、野々山と最も親しい男友達である佐藤克彦のアカウントに入り込み、DMで野々山の正体を暴露し続けたのは大いなる復讐である。
だからこれから向亜利沙についても少し触れておく必要がある。
彼女は逮捕後、どんな道を辿ったのか?

向亜利沙は性格がゆがんでいるが、恋愛に関してはピュアなのが厄介なところである。

彼女にとって野々山は、愛する水谷の命を奪った「悪魔」であり、人狼ゲームのルールなどは彼女からすっかり消し去られている。

かつての宿敵、浅見ルナが他界した今、野々山に対しての憎しみは半端なかった。

野々山は自分が逮捕されて、しかるべき施設に送られてもいいから、運営を調べ上げて二度とこんな悲劇が起こらないようにしてほしいとの願いから、捜査には全面協力の姿勢だった。
しかし向はそうではなかった。

よって、野々山の取り調べは照屋が担当し、向は硬軟自在な名倉が担当することになった。

向は運営に対して恐怖心が強く、事情を語らなかったが、名倉の努力によりようやく情報を得ることができた。

野々山より1ヶ月ほど遅れて施設への入所となったが、野々山と同じ施設には入れず、別の施設になった。
出所したのも野々山よりほぼ1ヶ月遅れだった。
捜査に時間がかかったのが原因である。

向の家庭についてはドラマで少し描かれており、名倉と照屋がパソコン等を借りたりしたが、野々山に比べるとあまりしっかりした両親には恵まれなかったようだ。
出所後、家に帰ってきても「恥ずかしい娘だ」と言うばかりで、亜利沙の話を聞こうとしなかった。
亜利沙は高校に行くつもりはなかった。

母親は「恥ずかしいからあまり外に出ないで」と言うし、父親が帰ってくると毎日のように説教が続き、亜利沙は憂鬱な日々を過ごしていた。

そんな時、ふと「野々山紘美はどうしてるだろう?」と思って検索したら愕然とした。
野々山が制服を着て、高校生たちと毎日楽しく過ごしている写真が出てきた。

亜利沙は怒りがメラメラと沸いてきた。
愛する水谷を殺害した野々山が、こんなに楽しそうに高校生活を満喫しているとは・・・

亜利沙はTwitterでの野々山を取り巻く人間関係を分析し、親しい男友達と思われる佐藤克彦をターゲットにした。
彼に接近し、同い年の女の子を演じることにした。

それが小日向理紗である。
微妙に向亜利沙に似た名前だが(笑)まだ誰も気づいていない。

しかも、水谷和希に妹がいて(水谷夕希)その友達が小日向理紗という「お話」まで作って、なかなか巧妙である。

そもそも、水谷に妹がいるかどうかは向しか知らないだろう。

野々山は正直に、自分が現在23歳であること、6年前にロストエデンとその続編インフェルノに強制的に参加させられ(埒による)、インフェルノでは結果的に馬渡聖弥(投票時)と水谷和希(襲撃時)を殺害したことを川崎麗子と佐藤克彦に告白した。

二人ともショックを受けたが、理解はしてくれた。

佐藤克彦「野々山さんは運営に逆らうことはできなかった。
逆らうことは死を意味する。
つまり、1980年代に大韓航空機爆破事件を起こした金賢姫みたいな立場だったんだね」

川崎麗子も同意した。さすが鹿野高校の生徒は賢い。
野々山一人だけ意味がわからないので、帰ってから金賢姫について調べた。

佐藤克彦「僕も結城も小澤も、野々山さんにTwitterを勧めたことで責任感じてるんだよ。それで小日向さんに知られてしまったし」

野々山「佐藤君が気にすることないよ。それより私、もう一つアカウント作って別名で小日向さんと話してみようかな?」

川崎麗子「そんな危ないことしない方がいいよ」

佐藤克彦「僕は反対はしないが、十分気をつけてほしい。
小日向さんは僕の他にも、クラスの数人とつながってるから」

野々山「わかった。ありがとう」

野々山は帰宅してから早速アカウントを作った。
もう一人の女性を演じるより男性を演じ、レポート提出時みたいな文章を書く方が楽かもと思った。

そして考えた名前が「山野宏」
野々山博美と山野宏
向亜利沙と小日向理紗

やはり九太郎が考えることは似てるなあ(笑)
そして山野宏は小日向理紗と同じ高2を演じた。

山野宏「小日向理紗さん初めまして。
俺も高2です。仲良くして下さい」

あっという間に、絵文字キラキラの返信が来た。

残念ながら小日向理紗のキラキラ絵文字の真似はできないのだが、要するに「あたし女の子なの」丸出しの文章である。
野々山博美はそれが向亜利沙であることは知らないのだが、もし知っていたら吐き気を催すほどのものだ。

こうして野々山紘美と向亜利沙は偽りのキャラを使って6年ぶりに話をした。

野々山は「小日向理紗は佐藤君にもこんな文章送ったんだろうなあ・・・女の子からこんなの来たら喜ぶに違いない」と思った。
佐藤が一時、小日向に夢中だったのもよく理解できる。
野々山は当分の間、人狼ゲームの話題には触れず、世間話を繰り返した。
やがて小日向も信頼したと見え、DMに移行した。

小日向理紗(向亜利沙)としても、山野宏がどこのどいつかわからないんだから「野々山紘美は殺人犯」を吹き込んでも意味がないのである。

小日向はひたすら相手をほめる。感謝の気持ちを大げさに表現する。些細なことでもあやまる・・・野々山は驚嘆した。
このタイプに男は弱いものと思われる。

数日後、すっかり打ち解けた小日向理紗は、お互いに写真交換することを提案してきた。

野々山は一瞬困ったが、ネットから適当な画像を拾ってきて送信した。
(この行為は肖像権侵害で犯罪になりますから、絶対真似をしないように)

小日向理紗は、なんと宮下舞の写真を送った。
野々山は呆然とした。

野々山には、小日向理紗の正体が向亜利沙であることがわかってしまった。
取り乱してはいたが、写真をもらった以上は返信せざるを得ない。
「理紗かわいいっ!」
それだけ書くのが精一杯だった。
それが九太郎の口調だということも忘れていた(笑)

それにしても向亜利沙、なんてひどい女なんだろう!

向亜利沙はインフェルノ2日目深夜、宮下舞の部屋を訪問し、野々山に細かいルールを淡々と説明しながら一人で人狼としての仕事をやりとげた。
その相手(正確には故・宮下舞)の写真を自分の顔だとして、ネット上の見知らぬ男性(?)に提供するとは・・・
しかも向、宮下、立花はかつて仲間であった。

しかも向命令→立花実行の「浅見イジメ」に宮下も協力したというのに・・・

ところで、野々山の「理紗かわいいっ!」に対する小日向理紗(向亜利沙)の返信(絵文字省略)
「きゃっ!嬉しいわっ!
ひろくん(山野宏)かっこいいよっ!」
今の野々山にとってはすべてが不快で、気持ち悪いものだった。

野々山は紘美として、怒りをぶつけたかったのだがグッとこらえた。
とにかく明日、学校で佐藤を呼び出して事情を話し、相談しよう。
それまでは山野宏という男性を演じ、小日向理紗の相手をすることにしよう。

その日も何度もDMのやり取りをした。
そのうち、あるアイデアが浮かんだ。

そのアイデアを実行しようとした矢先に、理紗からメッセージが来た。
「ねえひろくんって、誕生日いつなの?」

山野宏「俺は7月27日だよ」
(これは野々山紘美を演じた武田玲奈の誕生日に由来する)
小日向理紗「そうなんだ?私は9月5日」
(これは向亜利沙を演じた小倉優香の誕生日に由来する)

誕生日のやり取りで邪魔をされたが、野々山はアイデアを実行に移した。

山野宏「俺さあ・・・たまに死にたい気分になることあるんだよね・・・」

このメッセージでの目的は2つある。
1つは弱音を吐いた人間への対応を見る。
もう1つは人狼ゲームにおいて、絶えず意識させられるテーマに触れてみる。

小日向理紗「そんな・・・ひろくんいなくなったら理紗泣いちゃうよ・・・
何か悩みあるんだったら理紗に話して・・・頼りないけど」

(九太郎のコメント
実は書いてて気持ち悪くて吐きそうになる(笑)
こいつの正体、向亜利沙だからお忘れなく)

野々山は思った。これじゃ佐藤もやられる・・・

結局、小日向理紗は相手が弱音を吐いた時に、厳しい言葉で叱咤激励するタイプではなく、癒やし系という方向で設定されているらしい。

翌日、野々山は学校帰りに佐藤とお茶しながらじっくりと話し合った。
佐藤はショックを受けていた。
「僕のところに送られてきた写真も、本当は宮下舞さんなのか?」

そう言いながら、佐藤はスマホに保存された小日向理紗の写真を見せた。
それは紛れもなく宮下舞、いや、故宮下舞の顔だった。
向亜利沙がインフェルノで襲撃した相手、それを小日向理紗を演じている自分の顔としてSNSで使っている・・・
本当におぞましい。野々山は改めて怒りに震えた。

家に帰り、Twitterを見ると小日向理紗からのDMが来ていた。
「ねえお願い、今日は私を慰めて。
仲良くしてた男の子にブロックされたの」

野々山は悟った。佐藤がショックのあまり理紗をブロックしたのだろう。
実は野々山も我慢の限界で、亜利沙に怒りをぶつけたかった。しかしもう少し情報が欲しい。

野々山は今、もう少し我慢して理紗に優しくすれば(?)、情報が得られるかもしれないと考えていた。
彼女も23歳、やはり佐藤よりも大人になっていたのだ。
ようやく決心がつき、理紗と真摯に向き合うという方針で行こうと思った。

「その、ブロックした男の子って、どんな子なの?」

小日向理紗「克彦って言ってね・・・私はかっちゃんって呼んでるの」
なるほど・・・佐藤克彦がかっちゃんで、山野宏がひろくんか?
とりあえず佐藤克彦と山野宏は何の関係もないんだから、間違えないようにしないと・・・
小日向理紗「私、かっちゃんに何も嫌なこと言ってないのに、どうして急に?」

山野宏「普段どんなこと話してたの?」
小日向理紗「昔、人狼ゲームという危険な遊びがあったこと。ひろくんは知ってる?」

野々山は「やった!向の方からその話題に触れてくれた!」と喜んだ。

山野宏「高校生が熱中して犠牲者がたくさん出た事件でしょ?
聞いたことあるけど、その時俺小学生だし」

向は「そうか?宏も本当は6つ下だった」と再認識した。

理紗「実はね、私の友達が6年前にお兄さんを人狼ゲームで亡くしてるの」

この話は佐藤から聞いているが、向が作ったお話だ。
水谷和希に妹、夕希がいて、理紗はその友達という設定になっている。

宏「俺は人狼ゲームのこと知らないんだよね」

理紗「まあ普通はそうだよね・・・」

宏「でもさ、中学の時トランプみたいにしてカードで人狼ゲームやってた奴がいて、担任が『そのゲームは危険だからすぐやめなさい!』と言ってカードなどを没収したことがあったよ」

理紗「昔はカードゲームから、命がけの人狼ゲームに発展したからね」

宏「理紗の友達のお兄さんもそうだったのかな?」

理紗「うん。私の友達は夕希って言うんだけど、小学校5年生の時にお兄さんが亡くなって、最初のうちは誘拐されたという風に親は説明していたらしい。
そのうち、大きくなるにつれて親も本当の理由を説明して現在に至る」

今日の亜利沙はちょっとおかしい、と野々山は思った。
いつもの女の子女の子した文章ではなく、九太郎が書いたような(笑)いや、向亜利沙の文章になっている。
彼女は確実に焦ってきている。

もう少しでボロを出しそうだが、ここでしっかり腰を落ち着けて慎重に動こう、と新たな決意を固めた。

宏「俺は人狼ゲームのルールも知らないし、どうしてゲームが殺人事件に発展するのかがよくわからないんだ」
理紗「そしたら、pdfファイルをひろくんに2つ送るね。
1つには人狼ゲームのルール、もう1つには6年前の事件のことが書かれてる」
(実は向亜利沙が作ったものだが)

宏「うん、そうして」

第2章 山野宏と小日向理紗

その後数日して、山野宏は小日向理紗にDMを送信した。

宏「こないだ送ってくれたpdfファイル、2つとも読んだよ。
一応、理解できたと思う。
都築ってバカな奴だね」

理紗「ひろくんすごい!
それがわかるってことは理解の程度、十分だよ!
よく勉強したね!」

野々山はいい気分だったが、思わぬ災難が忍び寄ってきていることに気がつかなかった。

小日向理紗(向亜利沙)が、ネット上の友達である山野宏(野々山紘美)に恋をしてしまったのである。
向から見れば宏は「6つ年下の男の子」なのだから…

水谷に失恋して以来、6年ぶりの恋である。

ここで九太郎からの警告です。

私のフォロワーさんで、性別を偽ってる人は多分いないと思うけど(非公開ならかまいません)
偽ってたら、この創作小説みたいに厄介なことになるかもしれませんよ。

同性が、異性と間違えて自分のこと好きになったりします(笑)
十分気をつけて下さいね。

前にも書いたが、向亜利沙は性格がねじれているものの、恋愛についてはピュアという厄介な一面を持っている。

女の子女の子したメッセージを書くが、すべてが演技というわけではなく、乙女チックな面を本来備えているのだ。

それはロストエデンとインフェルノの原作(小説)を読んでみるとわかる。

野々山はただ情報が欲しくて、山野宏を演じて向と向き合っただけなのだ。
しかし向にとって山野は本来無関係な人間だ。
その彼が自分のために真剣になってくれている、そのことが向のピュアな心を打ったのだ。

もう野々山への復讐なんてどうでもいい!
私、向亜利沙は山野宏が好き!

さあ大変だ!

向は野々山への誹謗中傷目的で繋がっていた鹿野高校の生徒のアカウントを片っ端からブロックした。
そして自分のツイートを見直し、山野宏との「愛の巣」にするのにふさわしくないものをすべて削除した。

その異変に最初に気づいたのは佐藤である。
彼は野々山に「友達が次々にブロックされてる」

しかし野々山は鈍感だった。
「気が変わったんじゃない?」
それロストエデンで向が都築に言及した時のセリフだけど(笑)

向が山野宏を好きだとは考えてもみなかった。
向は野々山への復讐という気持ちがなくなったせいか、以前よりも優しくなったが、野々山は「気持ちの悪い人だ」と思っていた。

ここで創作裏話…

九太郎が岐阜を訪れたことは3回ある。やはり「路面電車の走る街」として、とても好きだった。

しかし2005年、岐阜の路面電車は廃止になって、それ以降は一度も訪れていない。
とても残念に思ったことを覚えている。

だから野々山の転居先として岐阜を選び、路面電車を復活させた。

路面電車といっても岐阜市が運営してるのではなくて、名古屋鉄道(いわゆる名鉄)の一部が岐阜市内に市内線として入り込んでるだけなのだ。
片側だけ名鉄との直通運転をしている。

残念ながら路面電車で岐阜をのんびりと見たまま名古屋まで行ってしまうことはできない。
そっちは直通運転をしていない。

ちなみに、岐阜市内線が名古屋方面に直通運転しても無意味である。
名古屋へ行くならJRに乗った方が速いからだ。

この創作小説では、どちらの側も直通運転せずに、又丸を終点とする。
そして、本来の終点である名鉄岐阜駅前から地下にもぐり、鹿野高校前を経て岐南町駅に達し、そこを始点とする。

野々山は登校時、歩いて又丸駅まで行く。

以降、又丸→尻毛→旦ノ島→近ノ島→忠節(厳密にはここからが市内線)→早田→西野町→本郷町→千手堂→金町→徹明町→金宝町→新岐阜前→岐阜駅前

ここから地下に入って、鹿野高校前→岐南町駅(九太郎作成)

つまり始発に乗って常に座って登校できる。

ちなみに、急行電車に乗ると旦ノ島と近ノ島を通過する。

野々山は佐藤とじっくり話し合うため、学校帰りに一緒に路面電車で徹明町まで行き、歩いて柳ヶ瀬商店街へ行った。有名な商店街である。

2人はレストランに入った。
佐藤は小日向理紗(向亜利沙)の行動が全く理解できないと言う。

佐藤「野々山さんの話を聞いて、怖くなったから理紗をブロックしたんだ。
しばらくすると友達が次々と理紗にブロックされてることを聞いて、理由が全くわからない。
向という人が野々山さんの正体をバラすために小日向理紗という名前で僕や他のクラスメイトに近づいてきたんだよね。
中傷をやめた?」

野々山「理紗(亜利沙)は、親しい男の子からいきなりブロックされてショック受けてたよ。
でも、しかたないよ。亜利沙なんかと関わらない方がいい。
あ、亜利沙の6年前の写真見せてあげようか?」

佐藤は野々山のスマホを見ると「何これ?おばさんじゃん?」
二人はゲラゲラと笑い出した。

一方、学校生活は正常に戻っていた。
みんな野々山の過去について知っているが、運営に抗うことが不可能で、6年間の矯正教育も受けてきているから、もうその話題に触れるのはやめようと考えるようになったからだ。

学校でも野々山は友達に囲まれて幸せだった。
向の復讐は終わったのだ。

ところが大きな問題が残っていた。

野々山のもう1つの顔「山野宏」に理紗(亜利沙)が恋しているということ。
それについては野々山はもちろん、佐藤や、理紗にブロックされた人たちも気づいてなかった。

野々山が男性名で、情報収集を目的として小日向理紗と交流してることはみんな知っていた。

向亜利沙は山野宏に会えるような自分になることを本気で考え、宮下舞の写真を送った手前、その外見になるよう髪型から変えようとした。

向特有のピュアな心を保つため、野々山に復讐するという負の感情をはねのけ、山野宏への恋を明日を生きる活力に変えた(あれ?これ「3年A組」用語だ)笑

野々山「佐藤君が初めて理紗と話した時、どんな印象だった?」
佐藤「お嬢さんっぽかったかな?そして優しくて繊細な感じだった。
だから、向という極悪人(?)が演じてると聞いてショックだった」
野々山「亜利沙はお嬢さんっぽい面あるよ。
そして好きな人には尽くす。
でも興味のない人には冷酷」

その後数日経って、向の復讐は終わったはずなのに、DMは届いていた。
野々山が人狼ゲームの話題を振っても、他の話に行ってしまうのだった。
野々山も情報を得る必要がなくなったから、もう終わりにしたかったのだが、ブロック等強硬な手段に出ると向は何をするかわからない。
また佐藤に相談しよう。

佐藤は野々山の話を聞いて、あることに思い至ったのだが、それを言うのはやめておいた。
野々山は少々鈍いと判断したからだ。

佐藤「理紗と絡むの、もうやめたいんでしょ?
それなら僕にいい考えがある。
中学の時の友達がいる。別の高校に行ってるんだが。
彼は体重100キロ超えで当然モテない。
続く

ネットで知らない女の子と絡もうとしたけどうまくいかない。
だから野々山さんの理紗とのやり取りを印刷して、彼に渡して引き継がせよう。

名前は加藤宰(照屋宰刑事と、演じている加藤虎之助氏の合体)。
それを小澤からの依頼にする。
彼がネットで女の子と絡んでたけど飽きちゃったという設定。

アカウント乗っ取りならぬアカウント譲渡?
違法に見えるが、こう考えればいい。
1つのアカウントを野々山と加藤で共同管理する。
そして基本は加藤に任せる。
加藤に山野宏という人間を学習させ、その続きをやらせる。
野々山は呆気にとられていたが同意した。
佐藤「じゃあ小澤と一緒に加藤に会う」

佐藤「野々山さんは何もしなくていい。僕がまず小澤に話をつけて、それから一緒に加藤に会うという流れで」

ちなみに小澤正敏は、クレイジーフォックスの小澤梢と、プリズンブレイクの丸山正敏(兄貴の方、あの狂喜乱舞脱走未遂致死の男)の合体である。

野々山は佐藤にすべてを任せることにした。

佐藤は小澤の了承を得て、一緒に加藤に会った。
これまでのやり取りを見せると、
加藤「小日向理紗ちゃん、優しそうな子だね」と満足気であった。
こうして山野宏は加藤宰が引き継ぐことになり、早速DMのやり取りが始まった。
小日向理紗(向亜利沙)は書いてる人間が変わっても、何も気づかなかった。

こうして向の問題は一応の収束をみたので、ここから本来の野々山の伝記に戻る。

向がいなくなっても、野々山は今後色々と苦労する運命にある。
これを書いている九太郎が野々山を嫌いだから(笑)

さて、3年生になり、クラス替えがあった。
佐藤、小澤、川崎とは別のクラスになり、結城は一緒だった。

結城弘人・・・それはインフェルノの結城利絵とラヴァーズの佐久間弘人の合体である。
彼は3年になると佐藤に代わって、野々山にとって良き相談相手になるのだが、佐藤や小澤ともクラスは違えどもつき合いは続いていた。
親友の川崎麗子も同じである。

しばらくは平穏な日々が続いていた。

5月に入ると小澤正敏に呼び出された。
「野々山さんのアカウントを引き継いだ加藤宰のことだけど、小日向理紗からの返信が急に途絶えたって。
加藤泣いてたよ・・・ずっと楽しくおしゃべりしてたらしいが」

変だなあと思っていたら、耳を疑うような衝撃的なニュースが飛び込んできた!

夕方のニュースより
「(前略)男女8人の遺体が発見されました。
(中略)向亜利沙さん23歳
(後略)本日、東京都では新たに156人が新型コロナウイルスに感染したことがわかりました」

ロストエデン&インフェルノで、クラスの半数が犠牲になり、人狼ゲームは過去のものになっていたはずだったが…

人狼ゲームは終わっていなかった。水面下で行われていたのだ。
ただ、高校生に参加させることは中止していた。
向亜利沙がネットで見つけた人狼ゲームも成人限定のものだった。

この小説は野々山の未来を中心に描く予定であったが、それを変更し、向についても今後は1つの小説の中で取り扱う。

第3章 向亜利沙が成人対象の人狼ゲームに参加するまで

小日向理紗(向亜利沙)は山野宏とDMしていたが、高2の終わり頃、担当が野々山博美から加藤宰に代わった。
加藤は野々山(彼自身は小澤正敏と思っていたが)の雰囲気を学習し踏襲したので、理紗に不審に思われることはなかった。
しかし・・・

小日向理紗(向亜利沙)は山野宏(加藤宰)と絡むことが次第につまらなくなってきたのだ。
加藤に落ち度はない。

加藤は理紗に好感持ってきてるが、しつこくなるほどでもない。
話は野々山よりむしろうまい。

しかし、理紗は他のことに関心が流れてしまったのは確かである。
一体何があったのか?

加藤宰は4月、高3になった。
小日向理紗(向亜利沙)は高校中退後、施設に入り、出所後も就職やアルバイトをしていない。
しかし、加藤と同い年だから高3になったことにしなければならない。
高3になると、進学するにせよ就職するにせよ、進路のことが話題になる。
それを理紗が加藤に聞いてきた。

理紗「ひろくんって卒業したらどうするの?」
山野宏(加藤宰)「俺は一応、大学受験するつもりだけど」
理紗「そうなんだ?私もだよ」
これは失敗だった。向亜利沙は大学受験を控えた高校3年生の生活がどういうものなのか、全くわかっていなかった。
山野宏は次第に、塾の話などをするようになった。

理紗(亜利沙)は話についていけなくなってきた。
そして山野宏(加藤)とのDMのやり取りも次第につまらなくなった。
それに伴い、宏への恋も冷めてきた。

両親からは「家から出るな」と言われ、宏とのDMのやり取りだけが楽しみだった亜利沙が帰っていくところは、あの人狼ゲームしかなかったのだ。

第4章 向亜利沙、人生最後の人狼ゲーム

こうして向亜利沙は、ネットで秘密裏に募集していた人狼ゲームに参加を決めた。
職業はOLということにしたが、年齢は正直に申告してある。

参加者名は、過去の人狼シリーズから男性同士、女性同士で姓名を組み合わせ、収まりのいいものを選ぶ。

参加者リスト

男性
藤木友宏 23歳、会社員
平正則 21歳、大学生
菅原陽介 25歳、無職
清野海斗 28歳、タクシー運転手
吉原すばる 24歳、教員

女性
向亜利沙 23歳、OL
三上すず 20歳、大学生
立花千帆 24歳、家事手伝い
佐伯梢 27歳、歯科医師
萬田瞳 26歳、看護師

今回の構成はロストエデン&インフェルノと、デスゲームの運営人の折衷で、10人構成の狂人なし。
普通の村人が5人、役職つき村人は予言者、霊媒師、用心棒各1人。
人狼は2人。

一見、村人側が有利に思えるような構成である。
全員が自分の意志で来ているから、パニクってる人はいなかった。

さすがに大人対象だけあって、過去シリーズの高校生対象のものよりも落ち着いており、例えば河合、椎木、星、庄司みたいに偉そうな態度をとる者はいなかった。

ルールの説明(テレビのモニターによる)が終わり、自己紹介が始まった。

「藤木友宏、23歳、会社員です」
向亜利沙と同い年だ。

向亜利沙は同い年ということに過剰に反応してしまった。
以前の佐藤克彦、山野宏とは違って、実年齢での同い年だ。
向亜利沙「私も23歳です。OLやってます。よろしくお願いします」

残る女性4名はほぼ同じことを考えていた。
「何あの子?ガツガツして・・・」
向亜利沙、最初から大失敗だった。

藤木友宏は向亜利沙の発言を全く無視し、左隣に座っている男に目で合図した。

「平正則21歳、大学生です」

つまりこういうことだ。男性も女性もそれぞれ固まって座っているから、この流れでいけば男性の自己紹介が終わってから女性の番になる。
向が途中で割り込んだという印象を強くする策略か?

やはり大人のやることは高校生たちとは違うということはわかるが、果たしてそれを「大人」と言えるものなのか?
逆に言えばそんな大人になりたいか?

自己紹介は続いた。
「菅原陽介25歳です。仕事はしていません」
「清野海斗28歳、タクシー運転手です」
「吉原すばる24歳、教員やってます」

するとその左隣の向亜利沙の左隣の立花千帆が
「向さんはさっきやっちゃったから、次は私かしら?
24歳、家事手伝い」

ううん・・・向亜利沙に対して何とも嫌味な言い方だ。
その後は淡々と自己紹介が続いた。

「佐伯梢 27歳、歯科医師です」
「萬田瞳 26歳、看護師です」
医療関係者2人。

最後は「三上すず、20歳、大学生です」

何とも微妙な雰囲気のまま自己紹介が終わり、施設内の散策をし、各自自分の部屋に戻った。
過去シリーズの人狼ゲームと違い、現時点での友達とか彼氏彼女とかの関係性が構築されていないため、お互い話をすることはなかった。

自室でベッドに横になりながら、向亜利沙は自分でも自己紹介で失敗したと感じていた。
そしてこのゲームに参加したことを後悔した。
大人の人狼ゲームの冷ややかな雰囲気が怖かった。

山野宏…最近は受験の話が多くてつまらなくなってきたけど、やっぱりDMのやり取りしてたあの日々に戻りたい。

投票までまだ時間はあったが、みんな集まっていた。

吉原すばる「予言者、霊媒師のカミングアウトあったらどうぞ」
萬田瞳「予言者です」
清野海斗「同じく、予言者です」
高校生の人狼ゲームと違うところは、ここで「あんたは偽物!」という争いがないことだ。
それは無意味なことを知ってるからだ。

だから大人の人狼ゲームでは、予言者のカミングアウトは淡々と行われる。
複数いれば、どちらかは偽物であることは皆わかっているが、いちいち口に出さない。

霊媒師のカミングアウトはなかった。

投票の時になると、佐伯梢が向を指差し、
「あなた・・・向さんだっけ?
何しに来たの?男探し?」

向「いえ、そういうつもりじゃないです」
佐伯「じゃあどういうつもり?
私たちは生きるか死ぬかの真剣な闘いをしてるの。
あなたみたいにいい加減な気持ちで参加されると迷惑なのよね」
あまりにも冷淡な言い方と、自分が鶴られそうな恐怖から、向亜利沙は泣き出してしまった。
これは演技ではない。

その時、吉原すばるが「言い方ひどすぎるんじゃないかな?」と言うと、菅原陽介も同意した。
今度は佐伯梢の印象が悪くなった。

投票になった。まだどちらが鶴られてもおかしくない。
結局、向亜利沙に4票、佐伯梢に4票、吉原すばる、菅原陽介に各1票だったので、決選投票をし、佐伯に6票入った。

結局、佐伯梢が鶴られることになった。

吉原すばるの発言で、あっという間に流れが変わった。
これはロストエデン2日目で、坂井龍樹が野々山紘美を鶴ろうとして、かえって自分が鶴られた時の光景に似ている。

初日の投票は情報が少ないから、嫌われたらまず終わりなのだ。

向は危ないところだったが、何とか生き残れた。
自室に入ってからも、山野宏のことを思い出しては泣いていた。
やはり彼のことが好きだったのだ。
しかし今は連絡の取りようもない。

翌日、霊媒師を騙ることを決断した・・・と言えばわかると思うが、向は霊媒師ではない。

翌朝、向にとっては命の恩人とも言える吉原すばるが亡くなっていたので向はショックを受けた。
しかし勇気を振り絞って霊媒師を騙った。
「私は霊媒師なので、昨日投票で鶴られた佐伯梢さんが人狼ではないことを発表させていただきます。」
向にしては固い文章だが、緊張しているんだからしかたない。

萬田瞳が「向亜利沙さんを占いました。村人側でした。
本人が霊媒師と言うんなら、そして他に名乗り出てこないなら多分本物でしょう。」

清野海斗「僕は吉原すばるを占ってしまったから意味ないか?もちろん村人側だったけど」

似たようなことがクレイジーフォックスでもあった。
狐と勘違いしたけど

2日目になると、向亜利沙をいじめる人間はいなくなっていた。
向に白出しした萬田瞳と仲良くなった。
怪しいのは清野海斗か?
今回は狂人がいない。よって彼は人狼の可能性がある。

吉原すばるが犠牲になったのは、向を鶴ろうとする流れを強引に変えてしまったからかもしれない。

萬田瞳は「自分は本物の予言者だ。清野海斗は人狼だ」ということを向亜利沙に信じ込ませようとした。
向亜利沙は半信半疑だったが、とりあえず自分に味方してくれたわけだし、黙って聞いていた。

投票の時間がくるまで、具体的な候補が絞られないままただ時間が過ぎていった。

向の知らないところで、平正則と三上すずが言い争いになったようで、それをひきずったまま投票の時間になった。
二人とも大学生で、平の方が1歳年上だ。

誰が人狼なのか、推理するでもなく関係ない話で火花を散らしていた。
萬田が皆にわかるように手を左から右へ水平に動かした(平らという意味)

皆は「平に入れろ」という合図だと悟った。
後ほど萬田が説明してくれたのだが、平と三上のどちらにしても良かった。でも合図は平の方が簡単だからという理由だそうだ。

「投票!」の掛け声であわてたのは平と三上だった。
ほとんどの参加者が平に入れ、平は鶴られた。
向はこの日も生き延びた。

その夜は立花千帆が人狼に襲撃された。
自己紹介で向に対して嫌味なことを言っただけで、他に目立った行動をしていなかったのだが・・・

翌朝、様子を見た向は悟った。
話し合いもろくにやらないまま事が進んでいるところを見ると、小グループに分かれて別個に作戦を練っている可能性がある。

それが高校生と大人の人狼ゲームの違いと思われる。
うわあっ!と攻めて誰かを鶴おうとしたり、誰かを陥れたりという手法ではなく、前夜のサインのように、何の話し合いもないように見える中で計画が進んでいくのだ。

まずは向のお仕事
「きのう投票で鶴られた平さんは人狼ではありません」

藤木友宏「佐伯梢さんって、吉原すばる君の3つ上なんだね。黒い服が似合いそう」

全く意味をなさないが、これは一種の隠語とも言える。
何を示しているかは後ほど説明する。

続けて予言者のお仕事
清野海斗「三上すずは人狼」
萬田瞳「いえ、村人側です」
二人が激しくぶつかり合うこともなかった。

お昼頃になって、藤木友宏は向亜利沙に話しかけてきた。
向と同じ23歳の会社員だ。
藤木「君、パンダ見たことある?」
向は舞い上がってしまい、「うん、かわいいよね!」

その後、藤木は何人かに「向はバカだ」とふれ回っている。
向は自室でもルンルン気分でいた。

お昼近くになって、藤木は向の部屋に入ってきた。
パンダについて、それを鶴必要性をバカな向に説明する必要があると言われたからだ。

藤木「ちょっといい?」
向は天にものぼる気分だった。「どうぞ」
藤木「今朝、二人の予言者が三上すずに白と黒、両方出したことはわかってるね?」
向「ええ」

藤木「そういうのをパンダって言うんだ。そうなった場合、対象を鶴ればどっちの予言者が本物かわかる」

向「知ってます。高校生の時にパンダになった子いたから」

藤木「で、その子鶴った?」

向「いえ、あの時は狂人がいたから、ちょっとややこしくて・・・」

藤木「まあ狂人がいると複雑だよね。
今回はいないから、セオリー通りパンダは鶴った方がいいと思う」

向「ええ、三上さんに入れるつもりです」

藤木「その反応を見ると・・・村人側?」

向「ええ」

藤木「俺も村人側。一緒に頑張って生き残ろう!」

向「よろしくね!」

藤木「こちらこそ!」

その後、向はシャワーを浴び、2日ぶりにパンツもかえて、その他もろもろ、女子力アップに精を出した。

投票の時間を迎えた。
結果のわかっている投票で、緊張感はなかった。
やはり予想通り、三上すずが鶴られた。

投票の後、向は藤木の部屋をたずねた。
「ちょっと相談があるんだけど」

向「私、村人側だけど本当は霊媒師じゃないんだ」

藤木「鶴られたくなくて霊媒師を騙った?」

向「うん」

藤木「そういう動機もあると思うよ。でも向が村人側だってことは疑わない」

向「ありがとう」

藤木「で、明日どう宣言したらいいかわからない?」

向「うん」

藤木「向としては、萬田に白出しされてるし、彼女と仲良くなってるし、本物の予言者って信じたいよね?」

向「うん」

藤木「俺も最初はそう思ってた。
でも、きのうからの萬田の動きが不可解!
サインを出して平を鶴おうとしたり、別に三上でも良かったけど平の方がサイン出しやすいとか。変だよね」

向「確かに」

藤木「ただ、それだけで萬田を人狼と判断するのも早計かな?とも思う。
そしたら清野が本物の予言者ってことになる。
彼は宣言以外、ほとんど何もしゃべってない。
彼だって怪しい」

向「わかんないよ」

藤木「俺も」

そうこうするうちに、午後10時になったので向は自室に戻った。

深夜、向の部屋に人狼が入ってきた。
もちろん護衛されてない。向自身が用心棒なのだから(笑)

人狼は清野海斗と藤木友宏。
向はショックを受けた。
藤木「お前本当にバカだなあ・・・」

向の死亡により、人狼と村人が同数になったため、人狼ゲームは終わった。
本物の霊媒師は立花千帆だった。

ではまず、藤木友宏が発した隠語
「佐伯梢さんって、吉原すばる君の3つ上なんだね。黒い服が似合いそう」
の翻訳から…

これは予言者を騙ったもう一人の人狼である清野に、
「三上に黒出ししろ」
という指示である。
3つ上→三上

清野は指示通り宣言した。

ちなみに本当の予言者は萬田瞳。

向亜利沙は最初に役職カードを見た時、絶望的な気持ちになった。
「用心棒」・・・向に最も合わない役職だ。
そもそも向は自分だけ助かれば他の人はどうなってもいいという考え方だから、誰かを守ろうという気持ちはない。
それが恋をすると、人狼である藤木友宏をずっと守り続けるという行動をする。

こうして、向の人生最後の人狼ゲームは終わった。

役職一覧
人狼→藤木友宏、清野海斗
予言者→萬田瞳
霊媒師→立花千帆
用心棒→向亜利沙
他は村人

そして向の人生も終わった。

ここから再び舞台は岐阜に移り、野々山の高3、5月以降の生活について書いていきたいと思う。

A型/魚座/男性/プロテスタント(ペンテコステ派第三の波→アッセンブリーに移行中)/ペテロ気質(優柔不断、気が弱い、平和主義)/好きな言葉「無事に、平和に、穏便に」(某ドラマより)/人狼ゲームの研究者(?)/猫が好き/2016年11月9日開設

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  2. 九太郎
  3. 2020/08/15 15:46:32 公開
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