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「すれ違い少女漫画なイドアズ♀ ウ...」、@jf_azul_0224 さんからのスレッド

すれ違い少女漫画なイドアズ♀ ウツボ求婚√

アズールが倒れたという知らせを聞いたのは、ジェイドよりもフロイドの方が早かった。
ジェイドが飛行術の授業で運動場にいたことと、フロイドが錬金術の授業にいつまでも行かないで校内をウロウロしていたことの二つの要因が重なった結果だ。

保健室に駆けつけると、アズールの枕元にはリドルが居た。
「…………金魚ちゃん、アズールは?」
「まだ眠っているよ。……保健室の先生の診断によれば、アズール、随分前から体調が悪かったのを隠していたんじゃないかって」
「…………え?」
「口惜しいな、気付かなかったよ…………友達なのに」

「なんで、金魚ちゃんが口惜しがるのさ、それ、オレらが口惜しがるとこだろ?」
「そりゃあ、君達は恋人かもしれないけど、僕はアズールの友達だよ。その立場は譲らない」
リドルはきっぱりと言う。
「…………君たち、うまくいってなかったんだろう?」
リドルは声を潜めて言った。
「…………うん」

これがジェイドだったら、きっと素直に認めたりはしなかっただろう。
そして、事態はもっと拗れていたに違いない。
だが、幸いなことにそこにいたのはフロイドだった。
だから、フロイドは少しだけ迷って、でも、素直にうなづいた。
「…………アズールね、オレらに隠し事してんの」

オレね、それが口惜しくて意地悪しちゃいそうになったから少し離れて頭冷やしてたんだ、とフロイドは呟いた。
「オレ、すぐひどいこと言っちゃうし、アズールはさ、昔、雑魚どもに虐められてたことがあって、そのこと、今でも心の傷だからさ。オレ、アズールにだけはひどいこと、したくないから」

「それは感心な心がけだけど、アズールがこんな時に離れるのはよろしくなかったと思うよ…………今更だけど」
「…………そだね。ジェイドがいれば平気かと思ってた」
「フロイド、僕が言うのも何だけど、君はともかく、ジェイドは本当にアズールの事を好きなのかい?」
「大好きに決まってんじゃん」

「本当に?」
リドルは真剣な表情で尋ねる。
「本当だよ。なんで、そんなこと…………」
「ここ三日の間に、ジェイドがアズールに酷いことを言うのを数回耳にしているから────アズールは、いつもの嫌みだって笑ってたけど、自分の恋人にあんなことを言う男、僕だったら手袋を叩きつけてるよ」

「ちょっと待って、金魚ちゃん。ジェイドはめっちゃ拗らせてるから、アズールにはすぐに失言するし、わりと嫌みっぽいとこもあるけどさ、金魚ちゃんがそこまで言うような酷いことを言ったの?」
「……まず、三日前、僕とアズールとカリムで昼食をとっていた時にアズールの食事に文句を付けてた」

「何て?」
「そんな雀の餌みたいな食事では、アズールの数少ない美点の一つである胸の体積が減るって…………ものすごく嫌みったらしく」
リドルは不機嫌そうに言った。
「はぁ? 何、ガキみたいなこと言ってんの? バカなの?」
「君はそう思うのかい? 良かった、君まで一緒の考えじゃなくて!」

きっとその時のことを思い出しのだろう。リドルはふふっと低く笑った。
「人の身体的なことをあれこれ言うのは紳士的ではないよ、そう思わないかい?」
「そうだね。……まあ、ジェイドとしては、アズールが食べなさすぎるのを心配したんだろうけど素直に言えなかったんだと思う」
「だから?」

ふん、とリドルが胸を張った。
「いいかい、フロイド。例えジェイドがどう思っていようとも、口から出たのはアズールを傷つける言葉だ。アズールが余計なお世話だと言ったら、ジェイドはわざとらしく泣き真似をして言った。『幼馴染みを思う僕の気持ちをそんな風に言うなんて』ってね」

「それで?」
「…………その瞬間、僕にはアズールの顔からすべての表情が消えたように見えた」
「……金魚ちゃん、そこ、詳しく」
リドルの観察眼は正しい。
自分たちは距離が近すぎる余り、見えなくなっている物があるのではないか? 何か大事なことを見逃しているのではないか?

フロイドには、なぜかそう思えてならない。
「いつもの茶番だって僕は思った。でも、ジェイドのその言葉の何かがアズールをひどく傷つけたんだ。でも、アズールは次の瞬間にはそれを隠して笑ったんだ。『おまえの気持ちは有り難く思いますが、食べられないものは食べられないんです。ありがとう』って

「それって…………」
「うん。僕は、それは拒絶だと思った。笑っていたし、御礼も言っていたけれど、アズールはそれ以上、ジェイドに踏み込ませなかった。…………ジェイドもそれ以上食い下がらなかった。ケンカでもしたのかって聞いたら、アズールはしていないって言ったけど…………」

「…………けど?」
「ケンカの方がマシなんじゃないかって思った。ケンカなら仲直りできるけど、そうじゃなくて、アレだったら…………僕は君達は別れる寸前なのかなって思って……」
「金魚ちゃん! 縁起でもないこと言わないでくれる?」
「いや、でも、アズールはあの時…………」

「待って、アズール、オレらと別れること考えてるって?」
「……違うよ。『僕と彼らは元から付き合ってなんかいません』って」
「はぁ? 何それ」
リドルはフロイドのその凶悪な表情に思わず椅子ごと後ろに後ずさった。
「……まあ、いつも通り照れてるだけなのかなって僕とカリムは思ったんだけど」

「…………ああ、うん。アズール、口癖みたいに幼馴染みだからって言うもんね」
「いや、それ君達のせいだろう?」
「オレら?」
「うん。君達、アズールに幼馴染みだからって言って随分いろいろ丸めこんでいたみたいじゃないか」
「え?」
リドルは何を思いだしたのか、少し顔を赤くしている。

「……いつだったか、幼馴染みだったら胸を触らせたりしてもおかしくないんですよね?ってカリムを迎えに来たジャミルに聞いていたんだぞ。ジャミルに一言もとに、幼馴染みにそんなことさせるのはただの尻軽だって切り捨てられて、ショックを受けていたよ」
「はぁ? アズールは尻軽じゃないし!」

ウミヘビくん、絞める! と言ったフロイドにリドルは言った。
「違うだろ。ジャミルはそれがアズールのことだなんて思ってなかった。それに、君達もっといろいろさせてるじゃないか…………恋人同士だからアリかもしれないけれど、でも、君達『幼馴染みだから』って言ったんだろ」
「……違うって」

いや、違わないのか、とフロイドは弱り切った表情をする。
「……アズールがあんまりにも疎いっていうか鈍くって、何をいっても通じなくて……でも、『幼馴染み』っていうのはアズールにとって特別みたいで、だから、最初だけだってば。ちゃんと告白だってしたんだ」
「ほんとに?」

「したよ。……去年の冬に」
「……そのわりにはアズールは全然君達を惚気たりしないんだよね」
「…………どういうこと?」
「僕とカリムはいつも知らず知らずのうちの惚気てる。アズールは聞き上手で、いつもたくさん聞いてくれて、的確にアドバイスしてくれる。でも、自分のことは全然話さない」

「全然?」
「うん。……君達の話はよくする。聞けば答えてもくれる。だから、僕もカリムも気付かなかった。でも、ジェイドの嫌みの一件の後に、カリムが言ったんだ。『もしかしたら、ジェイドはアズールとつきあってないんじゃないか?』って。それで僕ら二人で記憶を付き合わせて考えたんだ」

リドルは一息ついて言葉を続けた。
「それでわかったのは、アズールは一度だって君達を恋人だと言ったことがなくて、いつも『幼馴染み』だって言ってたってことと、自分からは絶対に話さないってこと────それから、君達との関係にすごく悩んでいたってことだ」
「それは…………」

「何か誤解があるなら、早く解いた方がいいよ。君達の方が良く知っているだろうけれど、アズールはギリギリまで溜め込むタイプだ。手遅れになる前に何とかしたほうがいい」
「……うん。あのさ、完全に巻き込んで悪いんだけど、金魚ちゃん、手伝ってくんない?」
「何をだい?」
リドルは首を傾げた。

「…………言っておくけど、僕はアズールの味方だよ」
「わかってる。…………オレじゃあ、アズールに聞き出せないんだ────アズールが隠してること」
「隠してるって何を?」
「わからない。でも、いつからなのかな…………アズールにどんなに好きって言っても全然伝わってない気がして…………」

信じて貰えてねえの、オレ。とフロイドは笑った。
「…………でも、聞いてはくれるからさ、言い続けていれば届くかなって思ってたんだ。でも、全然届かなくてさ。なんでかなって…………オレの言葉より、昔の雑魚が言った言葉を信じてるのかな? オレね、本当にアズールの事が好きなんだよ」

それは酷く優しい声だった。優しくて甘い響き…………アズールだけに向けられたそれを聞いてしまったことを、リドルは少しだけ居心地が悪いようなくすぐったいような気がした。
「……ねえ、金魚ちゃん。アズールの本心を聞き出してよ」
「…………わかった」
少し考えてリドルはうなづいた。

「────対価は、何でもいいよ。オレに払えるものなら」
「いらないよ。…………だって僕は君のためにそうするんじゃない」
「…………金魚ちゃん?」
「僕はアズールのためにするんだ」
だから君から対価はいらない、とリドルはきっぱりと言った。

◆◆◆
ジェイド・リーチは苛立っていた。
何かがおかしい。
なのに、何がおかしいのかがわからない。
彼は自分が目の利く方だと知っている。
観察眼だって人並み以上にあると思っている。
他者の思惑を察することも得意だし、他者の心を読むことも得意な方だ。
けれど────すべてが無意味だった。

何がどれだけ得意であっても、アズールの気持ちがわからない。
好きな子の心が今どこにあるかがわからない。
(いつからあんな風に笑うようになったんでしょう…………)
光に消え入りそうに儚い笑み…………それは背筋がぞくりとするほど美しかったけれど、ジェイドが心を奪われたものではない。

ジェイドが心惹かれたのは、あの燃えさかる憎悪の炎だ。
復讐心で心を研ぎ澄ませながらも、世界を呪うことなく切り開いていくアズールのあのまっすぐと前だけを見ている輝きだ。
(…………僕は、いつからアズールを見失っていたんでしょう)
己の目が曇っていたことにジェイドは気付いた。

文字書き(青鯨ひいな)/成人済(20↑)/読むのは何でもな雑食/主食はイドアズ/イデアズも好き/夢もにょたも好きな雑食
ネタ放流アカウントです。いろいろぶん投げていますのでご注意下さい。
マシュマロ marshmallow-qa.com/jf_azul_0224

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  3. 2020/10/07 20:45:28 公開
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