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「いわゆる「大阪都構想」の再挑戦...」、@KurataTetsuro さんからのスレッド

いわゆる「大阪都構想」の再挑戦にあたり、約5年前に書いた解説ツイート。今でも通用しそうなので、以下、そのまま再掲。(当時は、スレッド使えてなく読みにくかったので&リンク切れは修正)
5年の時を経てブラッシュアップされたプラン成就に期待。

※オリジナルはここ
twilog.org/KurataTetsuro/…

僕は「大阪府と大阪市の広域行政機能を統合し、身近な住民サービスに特化した特別区を創設する大阪都構想」への再挑戦は大歓迎。再挑戦である以上、前と同じではなく、よりブラッシュアップしたプランなのは不可欠。大阪府・市が、各種意見もとり入れて、より良いプランを編み出すことに期待している。

先ほど「大阪府と大阪市の広域行政機能を統合し、身近な住民サービスに特化した特別区を創設する大阪都構想」と書いたとおり、大阪都構想には異なる2つの側面が存在する。
一つは「大阪府と大阪市の広域行政機能の統合」、一つは「身近な住民サービスに特化した特別区の創設」だ。

これらはまったく別の効果をもつので、分けて考える必要がある。
以下、便宜的に、大阪都構想のうち「大阪府と大阪市の広域行政機能の統合」部分を『都構想(広域統合部分)』、「身近な住民サービスに特化した特別区の創設」部分を『都構想(特別区部分)』と呼びわけることにする。

まず、都構想(広域統合部分)だが、正直、これは「組織の在り方を見直して、組織の実行力をあげる」という話で、非常に玄人好みでわかりにくい論点だ。
そもそも「広域行政」という仕事自体が、国民生活の実感から距離のある仕事でわかりづらい。その「組織の再編」だから、輪をかけてわかりにくい。

「広域行政」とは。
例えば、鉄道や幹線道路の計画策定のように、広域を俯瞰して(いわば鳥の目で)10~20年単位で街をつくっていく仕事。また例えば、エリア内の市町村を調整してサービスの質を均質化する、いわば“行政(市町村)の向こう側にある行政”の仕事。
…とにかく一般には見えにくい。

都構想(広域統合部分)は、もともと一般に見えにくい仕事を担当する組織の再編の話なので、短期的なメリットが実感されにくい。だが、組織が2つに分かれているのと、一本化されているのとでは、できることの幅が確実に変わる。この「組織の実行力を上げること」が、都構想(広域統合部分)の効果だ。

では、「組織の実行力を上げる」とはどういうことか。このわかりにくい「都構想(広域統合部分)」によく似た事例が、過去に一つだけある。
それは2001年にあった霞ヶ関の中央省庁再編だ。皆さんは省庁再編を覚えているだろうか。…たぶん多くの人は「そういえば」程度の印象だと思う。

中央省庁は、10~20年どころか30~50年単位でモノを考える仕事であり、また、究極の“行政の向こう側にある行政”だ。
実は、中央省庁の再編は〝国民生活から距離感のある行政機構の再編〟という点で、大阪都構想のうち「大阪府と大阪市の広域行政の統合」部分に非常によく似ているのだ。

省庁再編の議論が進行していた当時、僕はまだペーペーの官僚で、コピーとりしてた時代だった。自分の職場が大きく改変されることに迷惑感しかなかったのをよく覚えている。僕のような役所内部にいた人間だけでなく、当時、中央省庁の再編にメリットを実感していた国民って、ほとんどいなかっただろう。

さて、この省庁再編から15年が経つが、今でも、そのメリットを実感できたという話はあまり聞かないし、説明できる人は珍しいだろう。
ところが、たまたま僕はその珍しい一人だ。なぜなら「15年前の中央省庁の再編がなければ、北大阪急行線の延伸は実現しなかった」のを実体験しているからだ。

「15年前の中央省庁の再編がなければ、北大阪急行線の延伸は実現しなかった」と言うと、箕面市長はなんでも鉄道延伸に結びつけようとする…とか言われそうだが、事実なのだから仕方ない。北急延伸は、運輸省と建設省が一つになり「国土交通省」という組織が誕生していなければ、事業化できなかった。

北大阪急行線の延伸は、実は、異なる2つの制度を組合せて1つの計画として成立している。1駅目の区間は旧・運輸省の「鉄道事業法」で、2駅目の区間は旧・建設省の「軌道法」という制度なのだ。さらに、北急延伸への国の支援は、鉄道事業を所管する旧・運輸省ではなく、実は、旧・建設省の交付金だ。

霞ヶ関は、省が違えば完全に別会社だ(感覚的には「同業他社」)。大阪府・大阪市の関係と同じ。建設省と運輸省が別会社のままだったなら、2つの制度を組合せて短い1路線を成立させるなんて絶対ありえなかった。国土交通省という一つの省の誕生がなければ、北大阪急行線の延伸は実現しなかったのだ。

実施から15年後に北急延伸で効果を発揮した中央省庁の再編。たぶん他の分野・地域でも、人知れず省庁再編が奏功している事例はあることだろう。仕事が近似している場合、組織が2つに分かれているのと、一本化されているのとでは、できることの幅が確実に変わる。その効果は地味だが着実に継続する。

「都構想(広域統合部分)」は、この省庁再編の事例に酷似している。組織が2つに分かれているのと、一本化されているのとでは、できることの幅が確実に変わる。
大阪の将来を見据えたまちづくりを担う組織は、府市に分断されているべきではない。統合して組織の稼働幅と実行力をあげることが必要だ。

もちろん、行政組織などというものに絶対の正しい姿はなく、時代にあわせて変化すればいい。ただ、10年以上前から何度も「府市統合」の議論が起こっていたこと、すなわち、府市分断の弊害が顕在化し繰り返し指摘され続けてきた過去をみれば、やはり今の時代は一本化して実行力の向上をめざすべきだ。

なお、都構想反対の人は「メリットを示せ」「金額で示せ」という。
北急延伸の経済効果は初年度2172億円・以後毎年578億円と試算される。これらと同様の全国の事象を国土交通省の誕生の効果額に算入してよいなら、現在までの省庁再編の効果額は凄まじい規模になるだろう。
だがそれでよいのか?

どこまでを省庁再編の効果額と言ってよいやら、眉唾感も否めないのが正直なところではないか。それは、国土交通省の誕生が、北急延伸の必要条件に過ぎず、十分条件(国交省が誕生したら、必ず北急延伸が実現する)ではないからだ。実際はもっと多くの条件が重なって、北急延伸は合意に達したのだから。

組織の実行力をあげたからといって、それだけで未来がバラ色になり、直ちに経済効果がうまれるわけではない。組織の力が高いことは、あらゆる施策の必要条件でしかない。
だから、僕は都構想(広域統合部分)については、「効果額」に着目しすぎた賛否は本質論ではないと思う。

行政組織の再編は、いろんな施策を実現していくためのサポートとなるものであって、施策そのものではない。
だから、大事なのは効果額ではなくて「 ちゃんと実行力が高まる内容か?」であり、コスト面で注視すべき点があるとすれば「今と同程度の組織コスト(人員)に収まっているか」くらいだと思う。

「都構想(広域統合部分)」に短期的メリットや効果額だけを求める人は、「組織の実行力があがる」ことの意味を軽視しすぎていると感じる。また、広域行政は中長期的な仕事が多く、トップ同士の人間関係に依存するという解決策は不安定すぎてありえない。実行力ある組織を制度で確立することが必要だ。

ただ、繰り返しになるが、「組織の在り方を見直して、組織の実行力をあげる」という都構想(広域統合部分)は、非常に玄人好みでわかりにくい論点なのは間違いない。
都構想の再挑戦にあたっては、できる限り理解と許容が進むよう、今後も伝えていく努力と、スムーズな組織移行が必要だと思う。

ここまでが、『都構想(広域統合部分)』(大阪都構想のうち「大阪府と大阪市の広域行政機能の統合」部分)の話。
ここからは、『都構想(特別区部分)』(大阪都構想のうち「身近な住民サービスに特化した特別区の創設」部分)の話。

一方、『都構想(特別区部分)』(大阪都構想のうち「身近な住民サービスに特化した特別区の創設」部分)については、(都構想(広域統合部分)に比べると)はるかにわかりやすく、かつ、より短期的に住民にメリットの実感をもたらすことのできる側面だ。

橋下市長が公園を整備して小学生に感謝されたことや、地下鉄トイレを美装化したことは有名な話。だが、もっと区民に身近で、厳しい区民の目に晒される公選の区長・区議会議員は(落選しないためにも)一層必死に狭い地域のニーズを汲みとり、区民に実感される住民サービスの拡充に努力することになる。

普通の市はそうなっている。例えば、箕面市が通学路の防犯カメラの設置に踏み切ったのもそう。豊中市の救命サポートチームの発足や、高槻市の健幸ポイント、中学生へのピロリ菌対策助成、吹田市のテレビ電話での健康相談などもそう。それぞれの地域で住民の声を汲みとり、それに応えようとした結果だ。

北大阪は箕面・豊中・吹田など市が7つあり、7市の市街化区域の総面積は183平方キロ、約170万人が居住する。大阪市が211平方キロ・約260万人なので、一回り小さい(2010年値)。そこで7市は住民サービスを競い合っている。各市の注力点が微妙に違うのは、ニーズもそれぞれだからだ。

北大阪7市を凌ぐ211平方キロ・約260万人に、大阪市役所が一括で臨む現制度では、地域ごとのサービスのカスタマイズに限界があるのは自明のこと。
北区と住之江区では課題も異なるはずだ。地域ごとに特別区を創設し、区長・区議会が必死で地域の声に応えるほうがはるかに住民に寄り添える。

特別区による住民サービスは、市と同じで、公園・道路・福祉・子育てなどなど多岐にわたる。例えば、無料健康診断、子どもの医療費助成、学校給食、妊婦検診助成、太陽光発電支援、資源ゴミ回収奨励金などなど、生活のあらゆる面に及ぶ。これらを特別区ごとに改善努力していくメリットは具体感が高い。

特別区役所の仕事はまだまだある。公園の遊具、安全柵・カーブミラー、介護サービス、街路樹の剪定、道路側溝の蓋かけ、独居高齢者の支援なんかもそうだ。住民サービスの話が、すぐ敬老パスの話ばかりになるのを見てると、今の大阪市役所にはそれしか特徴がないのではないか?と疑いたくなってしまう。

前・箕面市長の倉田哲郎です。

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  2. 倉田哲郎
  3. 2020/10/13 07:34:10 公開
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