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「戦後レジーム 【世界を動かすトリ...」、@milkkoucya さんからのスレッド

戦後レジーム
【世界を動かすトリック】

◎第五話 世論を作る代理店

90年代ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。
「ナチスのように残酷なセルビア人の民族浄化を阻止する!」とNATO軍は空爆を開始。

虚構の世界に同情し涙する人々。どれだけの人が「世論を作るPR企業」の存在を知っているだろうか。

戦後レジーム 【世界を動かすトリック】 ◎第五話 世論を作る代理店 90年代ボスニア・ヘルツェゴビナ紛...

情報操作のトリック。それに無頓着で何度でも騙される「かわいそう」が齎した物は何か。

「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」をベースに、政治的PR企業の情報戦略を解説して行きます(資料出典は最後尾に)

【欧州の火薬庫バルカン半島】

7つの民族、異なる言語・宗教が入り乱れた半島。大戦後、英雄チトー元帥の下にユーゴスラビア連邦として奇跡的に纏まっていた。

しかし彼の死後状況は一変。セルビア人に牛耳られた連邦から民族独立を渇望する人々。土地から他民族を追い出す紛争へ発展して行く。

【憎しみの渦】

ボスニアにいた国連軍サラエボ司令官マッケンジー将軍は頭を抱えていた。

「モスレム人もセルビア人も、憎悪の感情で頭が一杯でどうにもならない。国連部隊はボスニアなどにいるより、ソマリアで飢えた人々を救う方が有効な金の使い方だ」

戦っている全ての勢力に問題があった。

【世論を動かせ!】

92年、ボスニア(反セルビア)の外相シライジッチは米国に助けを求め訪米。ユーゴ連邦から独立宣言したボスニアに、独立阻止に動く軍事的優位なセルビアの攻撃が迫っていた。

シライジッチはベーカー国務長官との会談を実現し、アドバイスを貰う。「まずは世論を動かす事」

中東のように死活的な国益がかかっていないボスニアのために、米国が軍事介入し危険をおかす理由は無い。

米国には世界中から問題を抱えた国の外相がやって来て「助けてくれ」と懇願する。

だが外交政策を監視する米議会は「国民世論が賛成しない限り」政策に予算は付けないのだ。

【世論を作るPR企業】

PRとはテクニックを駆使して、メディアや政治家、議会、オピニオンリーダーなどに働きかけ、クライアントに有利な世論を生み出す。

日本だと広告代理店に近い仕事だが広告とは違う。米国ではロビー活動が物を言うのだ。

シライジッチは知人を介し、米国PR企業ルーダー・フィン社と契約を結ぶ。担当はジェームス・ハーフという政治分野のプロ。

実際はモスレム人やクロアチア人による残虐行為も多かったが、ボスニアと敵対するセルビアを悪役に仕立て、米国の軍事介入理由を作るのがハーフの仕事となった。

🔴戦略1【ボスニア外相シライジッチの改造】

ハーフは手始めに、シライジッチにTV画面でいかに効果的に表現するかのレッスンを受けさせた。

悲惨な状況を伝えるに相応しい憂いのあるハンサムな容姿、完璧な英語力。シライジッチは天才的な才能を開花させる(彼はモスレム人)

まずは「ボスニアが迫害を受けている」という現地情報を「プレスリリース」にまとめ、メディア・国連・政官界などにFAXで届けるニュース配信システムを作った。

この時点で世論のボスニア紛争への興味は低い。国連の反応も冷たく、多くの人は小国ボスニアがどこにあるのかすら知らなかった。

🔴戦略2【民族浄化(ethnic cleansing)】

宣伝に解りやすく注目を引くキャッチコピーを作り出す。

「セルビア人はボスニアのモスレム人を民俗浄化している!」クレンジングの意味は汚れを除去すること。それを『民俗を除去する』で使用し、ぞっとする印象を与える

ナチスを連想させ説明能力が高い

メディアはこぞって「民俗浄化」のショッキングな言葉に飛びついた。

この言葉はWW2で、クロアチアにナチス傀儡政権があり「クロアチア純血国家政策」のセルビア人狩りで使用された物。

その間、シライジッチ外相も迫真の演技でメディアに露出。セルビア人の残虐さを世界にアピールして行く。

🔴戦略3【強制収容所】

92年8月タブロイド紙『ニューズデイ』に「死のキャンプ」という記事が掲載される。

ボスニア北部のオマルスカ強制収容所から逃れた、二人の元囚人の証言が記事の中心。8千人もの非セルビア人が鉄柵に閉じ込められ、銃殺や餓死があるという話しだった。

この記事を書いたロイ・ガットマンは、取材にオマルスカ強制収容所に行こうとしたが難しく、現地には行けていない。

裏を取るため国連や赤十字に取材した。

強制収容所があるとは誰も言わなかったが「我々も現地に入れないんだ。死の収容所でなければ私達を入れる【はずだと思う】」

同じ頃、英国のTV制作会社ITNがガットマンが取材できなかったオマルスカの強制収容所を取材する。

鉄条網の前に物憂げに佇むやせ細った男。まるで、こちらに助けを求めるような。

この写真が世に出るや否や「世界は二度と強制収容所という蛮行を許してはならない!」と国際世論は沸き立つ。

【真実は何か】

ここは単なる捕虜収容所で、皆がイメージするナチスの「強制収容所」では無かった。暴力や拷問などもあったが特別センセーショナルな物では無い。

夏の暑いさかり、収容者は上半身裸で過ごし、そのなかでひどく痩せている男でアバラ骨が出ている者がいた。

それがこの写真。

【国連でドヤ顔を決めるジョン・ボルトン】

因みにこの鉄条網は、紛争前からたまたまあった物。

92年 国連人権委員会でユーゴスラビア(セルビア人)非難の論陣を貼った時、ユーゴ代表は人権侵害を否定した。

ジョン・ボルトン氏はこの表紙を掲げ「どんな言葉より写真が真実を語っている!」と。

🔴戦略4【強制収容所行きの列車】

更にガットマンは「強制移動させられるモスレム人が運ばれる囚人列車」の記事も書いている

アウシュビッツに運ばれるユダヤ人を思い起こさせるが、実際はセルビア人が使ったのは客車で、行き先も収容所ではなくモスレム人を難民としてオーストリアに送る物だった。

これらの記事を書かせたのはジェームス・ハーフでは無く偶然だったが、ハーフはこの記事をテコに、国連と米議会の人間に働きかけ「強制収容所キャンペーン」を発動した。

ワシントン中にこの話しを広めるんだ!
#強制収容所 #民族浄化 #ウィグル

【米大統領選と民族浄化】

こうして世論を盛り上げたハーフは、大統領選間近のブッシュ陣営に接近し「セルビア人による民族浄化」を売り込む

しかしブッシュ大統領は慎重だった「米国は世界の警察では無い」国務副長官もセルビア、モスレム、クロアチア人共に人権侵害に手を染めているのを知っていた

【クリントン陣営への接近】

ハーフはブッシュ陣営にプレッシャーをかけるため、クリントン陣営にも「民族浄化」を売り込む。

クリントンはブッシュ大統領の外交政策を攻撃するネタとしてボスニア紛争を持ち出し「ブッシュ大統領はセルビア人に寛容過ぎる!」と批判。大統領選の争点にまで登り詰める

ボスニア紛争の国際世論も高まり、ブッシュ大統領は対応を迫られた。

ヘルシンキ首脳会議の演説では、とうとう「今、私達が話し合っているこの瞬間にも民族浄化は行われているのです!」と演説した。そして米国の政策、国連安保理案件へと進展。その後クリントン政権へと引き継がれて行く。

結果、新ユーゴ連邦は国連から追放。それはセルビア人を国際社会から完全に追い出したに等しかった。フセインのイラクでさえ国連に議席を持ち続けていた。

ハーフのPR戦略は勝利し、ボスニア独立を守るため、米軍率いるNATOの無差別な空爆が行われ多くの人が命を落とした。

【後書き】φ( ´∀`)

このツイの出典「戦争広告代理店」の高木氏は、上記ハーフやガットマンに直接取材し、実際の資料を借り著作を書いています。情報戦の凄まじさが伝わり秀逸な作品です。

ボスニア紛争は決して悲惨な事が無かった訳ではないのですが、情報戦で膨らんだ虚構が政治を動かした例です

因みにイラク攻撃のきっかけとなった「ナイラの証言(イラクを悪者に)」のやらせも米PR企業ヒル&ノートン社による仕掛け。

こういう優秀なPR企業の作り出した世論に取り巻かれているのが、私達の情報生活なのです。その「かわいそう」本当に大丈夫ですか?

By Kame cafe ( ´∀`) 🌸→第六話に続く

【主な出典】

戦争広告代理店(伊藤 剛)

アメリカ正義の裏側
(スコット・タイラー 軍事問題ジャーナリスト)

ボスニア紛争を深刻化させたPR会社の“仕事”
bizcompass.jp/original/re-ti…

【ユーゴスラビア紛争が簡単に解る漫画】

セルビアボンバー
poodays.com/?page_id=3222

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◎訂正…‼️( ´∀`)

【主な出典】
戦争広告代理店(伊藤 剛)→(高木徹)

🙇‍♀️

丁寧に暮らす政治アカ/スローライフ/お花を育ててフラワーリース作り/ 趣味 バラ栽培 / 紅茶、 カフェオレが好き/シャビーシックインテリア

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  3. 2020/10/18 22:37:48 公開
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