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「ファンタジーにおける人口問題、...」、@sow_LIBRA11 さんからのスレッド

ファンタジーにおける人口問題、これかなり重要です。
中世まで遡らなくても、たった150年前で、日本ですら人口は1/4、東京(時期によって区分は異なるものの)の人口は100万人です。
ちなみに現在は1400万人、この十年でさらに二百万人増えました。

「科学」がない代わりに、如何にしてファンタジー世界で人口を増やすか・・・この問題で出てくる定番といえば、いわゆるじゃがいも、そしてハーバーボッシュ法ですね。
随分これらもメジャーになりました。
育ちの良い作物と、化学肥料、基本ですね。
火星の人です。

「科学」がない代わりに、如何にしてファンタジー世界で人口を増やすか・・・この問題で出てくる定番とい...

さらには、医療技術の進歩。
代表的なものと言えば、ワクチン・輸血、それと麻酔もほしいところですね。
そして外しちゃいけない抗生物質。
ペニシリンとサファル剤など。
「JIN」や「Drストーン」でこちらもメジャーです。

要は「餓死」と「病死」の回避ですね。
ここまでは魔法や、錬金術や、なんかそれっぽいモンでなんとかなります。ですが、「人口増加」を行おうと、もう一つ重要な要素があるのです。
そして意外と見落とされガチ、それが「流通」です。

中世のみならず、古代から近代に至るまで、国家の発展、とどのつまりは人口増加に最も必要なのは、「交通インフラの整備」です。
ローマ帝国インカ帝国も街道を築き、中華の皇帝は運河を掘りました。

なぜなら、どれだけ食料を生産しても、医療を高度に発展させても、それが求める者たちのところに届かなければ意味がないのです。
この「流通」の重要さ、皮肉にも歴史が証しています。
先の大戦での、日本の食糧不足です。

戦中の食糧不足、理由は様々ありますが、そこにも「流通」が関わっていました。運送運搬のリソースを軍用に振りすぎてしまったため、実際はそこまで欠乏していないにも関わらず、行き渡らなくなり、死者さえ出る状態となったのです。

先程も申し上げましたが、150年前は100万人だった東京の人口。戦時中は七倍の700万人になっています。
そもそも、これが増えた理由も、「食料の生産アップ」「医療技術の進化」もありますが、「流通の発展」が大きなウェイトを占めているのです。

明治期から戦中までの間になにを行ったかと言うと、交通網の整備です。わかりやすく言えば鉄道、そして船です。蒸気機関車と蒸気船、これらが登場したことで、流通の大革命が起こっていたのです。

これらの登場により、大規模輸送が可能となり、膨大な超過密都市の莫大な人口を食わせることができたのです。
逆に言えば、産業革命が起こるまで、100万都市が世界有数の大都市だったのは、その当時の技術レベルでは、それ以上食い扶持を賄えなかったのですね。

その流通が滞れば、七十年前に逆戻りとまではいかずとも、半分の規模にまで下がっただけでも、四倍の需要に耐えきれません。途端に食糧難で大騒ぎ、食い物もそうですが、日用品すら賄えず、燃料不足に陥ったというわけでございます。

ここらへん、我々は昨年経験しましたね。トイレットペーパー不足です。製紙会社が「あるから!」とどれだけアナウンスしても、行列・買い占め・転売の嵐、流通網を増やすことが出来ないため、需要と供給のバランスが崩れ、大騒ぎになりました。

あれのもっとひどい状態だったと思ってください。
なので、世界中の国々は、国家を発展させるために、交通網の強化は大問題で、近代においての人口を維持するためには、大規模流通網の維持が絶対だったのです!

そのために、史実においては、鉄道と航路の増強が必須だった。なので世界中で鉄道が作られまくり、海路を築きまくった、パナマやスエズを掘りまくったわけです。
「産業革命後に人口が増加した」は、上述の蒸気機関車と蒸気船による輸送が果たした部分も大きいのです。

ここらへん、フィクションで巧みに取り入れた作品があります。
「甲鉄城のカバネリ」です。
カバネリ世界、カバネという一種のゾンビが蔓延した世界。人類は城塞都市を作ってカバネの侵攻を防いでいました。

しかし、一都市の中での完全自給自足は不可能です。
そこで、都市それぞれが、総力を挙げて特定の物資を生産します。労力を一点に集中すれば、生産量が上がります。
それを、対カバネ用の装甲蒸気機関に載せ、都市同士をつなぎ、流通させたのです。
それが「甲鉄城」なのです。

要は、「莫大な人口が存在する都市」をファンタジーで描くためには、食料医療と同じく、それらを「運ぶ」手段が、なんらか張り巡らされていなければならない。
しかも、大型船や鉄道と同レベルの。
人口の過密は生産量力と都市文化の発展とイコールです。
その代替を、提案する必要があるわけですね。

ただ、これらを成り立たせるのは結構難しい。
安定した交通網と流通手段の確立を、魔法で補うとしたら、魔法使いの存在が随分と定番のファンタジー設定とはイメージが乖離しちゃうんですよね。
ま、そこは作り手のアイディア勝負なんでしょうがね。
「俺の異世界ではこうなんだよ!」でもいいですしw

まぁヒントになるかどうかわかりませんが、江戸方式もアリですよ。江戸の街は近世で100万人突破していましたが、その人口の食料をまかなえた理由の一つが、「米本位制」とでも言うべき、年貢米システムで都市部に米が全国から運ばれていたことと、あともう一個は――

うんこです。
いやマジで、これけっこうバカにならないんです。
大規模な輸送流通網がないにも関わらず、大都市の食料を賄おうとしたら、その都市の周辺に大規模な農地がなければ始まりません。
その大規模農地で安定した生産を行うためには、肥料が必須。
それが、うんこです。

世界的に見て、人糞を肥料とする文化って、意外と少数なんですよ。日本はその少数の一つだった。
しかも都市運営レベルで行うほどの。
都市で排出された大量のうんこを、馬車や牛車や船で郊外の農村地に運び、そこで生産された作物が、都市人口の腹を満たしたのです。

江戸の街が、同時代の他国の都市に比べて清潔だったのも、そこが理由です。
うんこ、ただの排泄物ではなく、貴重な肥料だったので、売買されていたのです。
そりゃそこらに勝手にさせませんよ。
江戸長屋など、住人の排泄物は、大家の貴重な収入源でした。
「花よりもなほ」などで描かれていましたね。

まぁこう考えると、都市の発展ってのは、大事だったのだなぁとわかりますね。戦後日本の人口はさらに増加し、1960年代にはついに一千万人を突破します。
ですがこの当時大問題が、交通戦争です。
「いだてん」でも描かれていましたね。

高度経済成長によるマイカーの増加、さらに鉄道ストなどの影響によって、流通の手段に大型トラックに移動、その増加量に東京の交通網が追いつかず、各地で大渋滞が発生したのです。

ですが問題はそれだけではありませんでした。
狭くて見通しのきかない、信号機やガードレールすらない、そもそも舗装すらされていない道に、大型トラックが走り回ったのです。
これにより、交通事故が多発、最大期は年間死者数一万人、現在の三倍以上です! まさに戦争だったのです。

この交通戦争の時代に生まれた子どもたちにとって、「日常の直ぐ側にある死」は、交通事故だったと言えましょう。そんな彼らが大きくなり、漫画家になり、アニメーターになって、「健康な子供や若者が突然死ぬ」が、交通事故が原因なのは、当然の帰結と言えます。

特にその中でも多くあったのが、急激に増えた流通を支えるために増加したトラックによる事故・・・それらが作品に反映され、多く描かれた結果、本邦においても「突然の死」は「トラック」が占めるようになった・・・

その結果、現代にも繋がり、「トラックにひかれて死亡して異世界に転生する」という様式美ができたのです!
いや、実際、他所の国の異世界転生、落下事故とか自殺とかのが多いそうですよ。
意外と、ジャパニーズ・アナザーワールド・ストーリーあるあるなんですな。

まぁこのように、「異世界と流通」は、実は大変、深いつながりがあったというお話でしたね。
辿り着く場所はいつも同じ!あの人も言っていましたね。
ではまた来世。

ライトノべル作家のはしくれです。「戦うパン屋と機械じかけの看板娘」(HJ文庫)全10巻。「桃瀬さん家の百鬼目録」(電撃文庫)。「剣と魔法の税金対策」(ガガガ文庫)1/18発売。「新選組チューボー録」矢立文庫にて連載中。
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  3. 2021/02/22 19:43:56 公開
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