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「福島県伊達市の全住民のガラスバ...」、@IwanamiKagaku さんからのスレッド

福島県伊達市の全住民のガラスバッジ外部被曝測定データを用いたとして空間線量率と個人線量との関係を論じたJ. Radiol. Prot., 37, 1-12(2017)〔第1論文〕と、それをもとに累積線量を求め除染効果を論じたJ. Radiol. Prot., 37, 623-634(2017)〔第2論文〕(著者名から宮崎・早野論文)について:

政府放射線審議会の資料として取り上げられて政策の根拠とされていました。(後に削除)

論文の研究計画書では、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告への影響を示唆していました。
実際、勧告の原稿段階ではこの論文への言及があったとの証言もあります。(最終的に公表された草稿では削除)

放射線防護の基準という、社会的影響の極めて大きな内容を扱っている論文です。

伊達市住民の方が、東京大学と福島県立医科大学に調査申立をされ、倫理的な問題が提起されたことを受けて、同審議会資料からは除外されましたが、当時の審議会事務局からは、…

…「学術的な意義について全否定されるものではない」との発言も。
時間を経て論文は撤回されましたが、このような受け止め方もあります。

その内容の批判的検討は、依然として重要です。

東大と福島県立医大の調査結果は19年7月の同日に公表されましたが、極めて不十分で、不可解なものでした。

論文の記述に即して読み解こうしても、おびただしい数の不整合があります。
(「ゆがむ被曝評価」サイトiwanami.co.jp/kagaku/hibakuh…掲載公開論文参照。東大と福島県立医大の報告などの資料も掲載)。

東大調査報告では、論文内容については図の不整合1点のみについて述べるにとどまっており、おびただしい数の不整合は無視されています。

しかも認定したという誤り(結論的な除染の効果を論じる第2論文図7(積算線量の推移)の縦軸の数字が正しくは2.2倍であった)は、…

…図中の個別プロットについてはあてはまりますが、図中の曲線(評価した中央値とされる)には、あてはまらない(ずれている)のです。
(なお論文では「平均値」が途中から「中央値」に変化)

しかし東大調査報告では、除染の効果の議論の中核になるはずのグラフとの不整合になんらふれていません。

論文の結論の一つは、伊達市において除染の効果がみえないということでした。

しかし素直に図をみれば、除染の効果はあるようにみえます。中央値とされるグラフは、除染の効果がみえにくくなるような、視覚的効果をうむ位置にひかれているようにみえます。

実際、著者早野氏らが作成した、「田中委員長向け」と題され、「行政関係者向け」に「論文投稿前」(さらにいえば、研究計画審査許可前の2015年10月)の段階で「結果の抜粋」をまとめたファイルでは、論文の図とほぼ同じ図が掲載されており、除染の効果があると述べているのです。

さらに、この図では論文とは異なるように曲線がひかれています。

ファイル:
ourplanet-tv.org/files/20151015…

OurPlanet-TVの記事「伊達市民の被曝解析データを前規制委員長へ提供〜宮崎早野論文」:
ourplanet-tv.org/?q=node/2475

つまり、除染の効果について、「行政関係者」への情報提供の前後で、結論が、効果あり→なしへと変化したのです。

第2論文のもう一つの主要結論である生涯線量の見積りにも、大きな問題があります。しかし奇怪なことに、「生涯線量の数値は妥当」(福島医大調査報告)とされました。

加えて、両大学報告の後、深刻な問題が明らかになりました。著者に渡っていないとみられる期間のデータの図が、第1論文には存在するのです。実際、その図の対象者数は間違っており、他の図とは異なって、機械的に作成されたとは考えにくい奇妙な特徴があり、さらに…

…そのデータは他の図のデータと奇妙な相似がみられるのです。

詳しくは上記サイト掲載の
黒川眞一:「大規模被曝データ解析論文の新たな問題――宮崎早野第1論文の表1 2014 Q3 と図4f は正しいガラスバッジ測定データにもとづいていない」,科学,90(5), 433(2020)
iwanami.co.jp/kagaku/Kagaku_…

第1論文は、空間線量と個人計測した線量との関係を論じており、個人線量は空間線量に比して従来想定よりも大幅に低い、ということを主張していました。

こうした数々の問題が解決されていません。
大学調査報告後に発覚した問題は、当然、なんら調査されてもいません。

一方で、個人線量での管理を進めようという動きがあります。

上記サイト掲載の
濱岡豊:「個人線量測定論文の諸問題――批判的レビュー」,科学,89(4), 341(2019)
iwanami.co.jp/kagaku/Kagaku_…
もご参照ください。

岩波書店・雑誌『科学』編集部です。『科学』や、『科学』からうまれた本の紹介をします。電子メール: kagaku@iwanami.co.jp

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  3. 2021/03/01 23:36:29 公開
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