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「世の中何がつまらないかって、「...」、@sow_LIBRA11 さんからのスレッド

世の中何がつまらないかって、「身内ネタ」ほどつまらないものはございません。
例えば、初対面の集団の中一人で、延々と、
「この前の○○おもしろかったね~」とか、
「○○さんいつもそれじゃ~ん」みたいな会話に、コクコクと相槌打ち人形しているときほど時の流れを感じるときはございません。

「よく知らん人のよくわからん話」は、それがどんな内容であろうが、当人たちだけが盛り上がっていようが、わかんねーもんはつまらないのです。
これは作劇においても同様です。
わかんないモンはつまんないんです。
逆に言えば、「わかりやすさ」がどれだけ大切かという話です。

他の全ての要素を数段下げても、とりあえず「わかる」ようにするだけで、見られるようになります。
「つまらない」と「おもしろくない」は似て非なるものです。
「わからない」と「つまらない」ので、「おもしろい・おもしろくない」以前の問題なんですね。

一時期「日本映画の悪癖」として、「一事が万事セリフで説明する」が上げられました。
例えば、机の上に万年筆があったとします。
「それとって」
「はい」
ですむところを。

「机の上にあるその万年筆を取って」
「この万年筆でいいんですか?」
「はいそうです」
みたいな会話です。
不自然極まりない上に、説明過多になってしまい、テンポが悪く冗長になる、褒められたものではございません。

もっとひどいものだと、悲しかったら「俺は悲しい!」みたに言い、嬉しかったら「私は嬉しい!」と言わせる、そんな作品が多々見受けられ、難色をしめされました。
しかし、それらにも理由があります。

芸術性が先鋭化しすぎたせいで、「なにやってるかわかんない」な作品に、観客が置いてけぼりをくらった時期もあったわけです。
わかりさえすれば素晴らしい作品でも、わからなければ、三文芝居にも劣る結果になってしまうのです。

ここらへんを割り切ったのが「渡る世間は鬼ばかり」です。脚本の橋田壽賀子氏、「見る人が動きだけでわかると思うほうがおかしい」と、大半の行動と心情をセリフで説明させました。そのため台本めちゃ厚いことで有名ですが、結果として高い支持を得ました。

まぁそれでも、舞台や映画といったようなメディアなら、まだ話は変わるのです。一定時間「観る」ことに集中させ、拘束するのですから、客側も「理解しよう」とがんばれます。「劇場」というシステムが、配信が全盛の昨今においても重要視されるのは、そこらへんも理由なんですね。

この「わかる」のハードルをいかに超えるかが、創作において大きな難題です。開始数ページ、開幕数分、ここでどれだけ掴むか。基本無料のテレビ放送やネットコンテンツの場合は、重要性はさらに増します。
金払ってないんだから、つまらなければすぐに「切られ」ます。

そのため、既存の作品に共通する「あるある」の設定を下敷きに、「系」「フォーマット」とすることで、そのハードルを下げる技法が編み出されました。
「皆さんご存知」の定番ネタを組み合わせることで、わかりやすさを格段に上げるわけですね。

ただここらへんの定番ネタの組み合わせは、共通認識の土台があって初めて成り立ちます。
「そういうお約束」がわからなければ、やはり「つまらないもの」になります。
高年齢層に圧倒的支持のあった「渡る世間は鬼ばかり」でも、小学生が楽しめるものではなかったのと同様です。

このほど左様に、「わかりやすさ」は、かなりの高等技能と言えましょう。
なんせ、「一から十まで懇切丁寧に説明する」すればいいもんでもありません。
興味のない話を延々とされるほど苦痛もないですしね。
説明書読むのが苦痛だから今日もコールセンターは大盛況なんですよ。

なので、一話、序盤での見せの大切さは、「詳細な説明」ではなく、「観客の認知度のギリギリを見極め、空気感と雰囲気を伝える」なのですが、それこそ高等技能です。匠の技とも言えます。
「よくわからないけど、わかった」的な、言葉ではなく心で理解させる。

「マンモーニ」なペッシを、男として成長させたプロシュートの兄貴のごとく、高等な能力です。
なんでこんな延々とまくし立てているかと言うと、先程見た、アニメの「セブンナイツ」がまさにそれだったんですな。

シリーズ構成小太刀右京先生で、各方面で大活躍されている御方ですが、この方、ノベライズがめちゃくちゃ良作だけなんです。原作の、時として難解な入り口を見事に解きほぐし、その「おもしろさ」を見事なまでに誘導する。

原作をすでに知っている人間ですら、さらなる魅力を、隠されていた宝石を披露するように描く。私ごときがいうのもなんですが、神がかった才能の方ですよ。
なに食ってんでしょうね?
青汁かな? なんか特別な青汁でも飲んでいるのかな?

なので「セブンナイツ」、私はゲームやってないし、CMでタイトル聞いた事があるくらいなのに、すごいおもしろかった・・・というか正確には「これはおもしろいものだぞ!」と、引き込んでくれた、一話目の序盤の役割を100%果たしたわけですよ。

この最初の役割が全うされなければ、どれだけ作画が良かろうが音楽が良かろうが役者が絶演しようが、「他人事」です。「なんかやってる」にしか見えません。
戦場の一番槍ですよ。
いや、いい勉強をさせていただきました。
とりあえず視聴継続です。

ライトノべル作家のはしくれです。「戦うパン屋と機械じかけの看板娘」(HJ文庫)全10巻。「桃瀬さん家の百鬼目録」(電撃文庫)。「新選組チューボー録(原作)」少年エースにて連載中。「剣と魔法の税金対策」(ガガガ文庫)二巻4/20発売。
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  2. SOW@新作出すよ
  3. 2021/04/05 00:38:40 公開
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