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「モンテネグロ、高速道路建設のた...」、@AtsukoHigashino さんからのスレッド

モンテネグロ、高速道路建設のために中国に借りた巨額ローンを返済出来ず、EUに肩代わりを求めていることが明らかに。

そもそもEUは、本案件で中国と契約しないよう同国に何度も忠告していましたが、同国がそれを押し切ったかたちとなっていました。ローン総額は約$1bn。

Montenegro calls for EU help over $1bn Chinese highway loan

Montenegro calls for EU help over $1bn Chinese highway loan

Refinancing offer would be ‘a small but easy win’ for Brussels, says finance minister

ft.com

本件経緯に関してはこの記事(2018年)が一番詳しいのですが、なかなか強烈な内容です。

そもそもこの高速道路建設に関しては、2006年に仏企業が、2012年に米企業がそれぞれフィージビリティスタディを行い、両者とも実現は困難と結論づけていましたし、↓

Chinese 'highway to nowhere' haunts Montenegro

Perched atop massive cement pillars that tower above Montenegro's picturesque Moraca river canyon, scores of Chinese workers are building a state-of-the-art highway through some of the roughest...

reuters.com

クロアチアの、その次にギリシャとイスラエルのコンソーシアムが関心を示したが資金調達できず断念。

すると中国輸出入銀行が、モンテネグロの大学の経済学者を一斉に買収し(!)、別のフィージビリティスタディを実施して「実行可能」との結論を出し(調査内容は現在も非公開)、モ政府は中国と契約。

結果的に、モンテネグロの債務は同国のGDP比80%に。
しかし、中国が中東欧諸国に対して約束した大型投資案件はほとんど実現しておらず、本件工事もご多分に漏れず遅れています(ほとんど支柱だけの箇所も…)。
それでも第1回目の返済期日は予定通り7月に迫っています。

Montenegro fears China-backed highway will put it on road to ruin

Project that has raised country’s debt levels shows pitfalls of using Beijing loans

ft.com

返済不能となった場合、同国は典型的な「債務の罠」に陥ります。
スリランカも2018年、中国への債務が返済出来ず、港のひとつが99年間にわたって中国国営企業の租借地となりましたが(リンクのNYTの記事参照)、モンテネグロと中国との契約にも同様の内容が含まれています。

How China Got Sri Lanka to Cough Up a Port (Published 2018)

A Times investigation into Sri Lanka’s handover of its Hambantota Port starkly illustrates how China turned an ally’s struggles to its strategic advantage.

nytimes.com

冒頭のFT記事にもあるように、モンテネグロの財務大臣は「EUはきっとローンを肩代わりしてくれるでしょ」と楽観的(!?)。
確かにEUは、加盟候補国でもあるモンテネグロの窮状に対して何らかの手を打たないわけにはいかないでしょうが、EUでは「だからいわんこっちゃない!」の大合唱...

EUとしては、あれほど何度も忠告したにもかかわらず、モンテネグロが暴走して中国との契約を結んでしまったのに、そう簡単に債務肩代わりなどしたくはないというのが正直なところでしょうし、この契約に対してEUが実際にどのように介入できるのかという技術的な問題も残されていそうです。

未だに中国からの大型インフラ投資に魅力を感じている他の西バルカン諸国や東欧諸国には、本件の展開をよーく見ておいていただきたいと願うばかりです。
道路は出来ず、莫大な借金の返済だけは求められるのですから。

また本件は、中東欧と中国との経済協力枠組の「17+1」の終焉を一層早めそうです。

モンテネグロの件に関しては、4ヶ月ほど前に朝日新聞のインタビューでごく簡単に説明させていただきましたので、こちらももしよろしければ。

(鈴木さん、この記事でまとめていただいた懸念が現実のものとなりつつありますね…)

中国に幻滅と期待と…中東欧が探る「微妙なさじ加減」:朝日新聞デジタル

 世界で激化する米中対立が、中東欧地域でも展開されています。中東欧が近年接近していた中国と距離を取りつつあるなか、米国が影響力を強める動きがみられます。欧州全体の視点も加えながら、この地域の中国、米国…

asahi.com

筑波大学人文社会系准教授。ヨーロッパ統合論、ヨーロッパの国際関係、国際政治。EU・中国関係、EUのEastern Partnership(EaP)、EU・ロシア関係など、EUの対外政策を中心に研究。いいねは備忘録を兼ねます。trios.tsukuba.ac.jp/researcher/000…

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  2. 東野篤子 Atsuko Higashino
  3. 2021/04/12 04:46:46 公開
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