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「リチャード3世の遺体発見から、DNA...」、@North_ern2 さんからのスレッド

リチャード3世の遺体発見から、DNA解析で先祖の誰かの嫁が浮気して托卵していたことが判明して、ランカスター朝、テューダー朝以降の現代にわたるまでの「生き恥」を600年越しに叩きつけられる英国紳士淑女の皆さんかわいそうなんだよなあ…。

※リチャード3世の遺体と思われる骨が600年ぶりに発見されたのでDNA解析で現代の子孫と照合して本人か特定しよう→あれ?y染色体がリチャード3世の先祖のエドワード3世のと一致しない人がいる…?→お前の先祖の嫁、どっかで浮気して托卵してるぞ と判明するかわいそうな回

せっかくなので、二階堂先生が好きそうなイギリス王室托卵可能性小噺の解説をしようと思う。

この話をするにはまず、15世紀のイングランドの状況を説明しなければならない。この時期のイングランドは百年戦争後のゴタゴタで内乱が起きており、プランタジネット朝のエドワード3世の後、英国は赤薔薇のランカスター朝、白薔薇のヨーク朝が互いに王位を奪い合う薔薇戦争の時代に突入する。

その中で、ヨーク朝の最後の王がリチャード3世だった。悪役のイメージが強いが、これは彼から王位を奪い、新たな王朝テューダー朝を開いたヘンリー7世の時代に書かれた資料が敗者である彼をこき下ろすいつもの勝者の歴史ムーブや、シェイクスピアの戯曲によるものとされ、現在は名誉回復が進んでいる。

リチャード3世の最期は1485年のボズワースの戦いだった。状況はリチャード3世側不利に傾いていたが、彼は敵陣にヘンリー7世の姿を見ると、一か八かの突撃を敢行する。古代以来、将が消えれば兵の士気は下がるという戦場の法則と、自分が正統な王であるかどうかを神に試すという意味もあったという。

リチャード3世の最期は1485年のボズワースの戦いだった。状況はリチャード3世側不利に傾いていたが、彼は...

リチャード3世は数名の側近とヘンリー7世の本隊に突っ込み、一時は一騎打ちさながらに攻め立てるが、フランス傭兵の攻撃で馬を失う。それでも彼は戦い続けた。シェイクスピアの戯曲の中の「馬を!馬をくれ!代わりにこの国をくれてやる!」という台詞はかなり有名だ(この台詞自体は創作だろうけど)

しかし、その後リチャード3世はその戦闘で戦死する。遺体はヘンリー7世たちによって葬られたが、長い間その詳しい場所は不明であった。この戦闘をもって英国の王位を巡る内戦、薔薇戦争は終結し、ヘンリー7世のテューダー朝が開始された。現在まで続く英国王室の下地が出来上がったとされる。

それから時を経ること600年。2012年、イギリス、レスター市の駐車場の地中から、リチャード3世と思われる遺骨が発掘された。遺骨の頭蓋には無数の刺し傷や致命傷となったとされる脳に達する剣の傷などもあり、リチャード3世の最期の伝承そのものの激しい戦闘で亡くなった様子がみてとれた。

さて、この遺骨が本当にリチャード3世のものかが詳しく調査されることになった。そこでは、DNAによる女系子孫が必ず受け継ぐミトコンドリアの解析と、男系子孫が必ず受け継ぐy染色体が重要視された。この二つが一致すれば、彼はリチャード3世本人ということになる。

※①女系子孫と男系子孫ってなんやねん?
たとえばA家という血統があるとする。このうち父親からA家の血統を受け継いでいれば、子供が男だろうと女だろうとそれは「A家の男系子孫」にあたる。逆に母親からA家の血統を受け継いでいれば「A家の女系子孫」となる。

※②やっぱわかんねえよ
サザエさんで例えると、磯野家の男系子孫(波平という父親から生まれた)はサザエ、カツオ、ワカメとなる。サザエさん(磯野家からフグタ家へ嫁に入った、磯野家の血を持つ母親)から生まれたタラちゃんは磯野家の女系子孫(と同時にフグタ家の男系子孫となる)

…で、このうち女系子孫は、母親からのみ同型のミトコンドリアを必ず引き継ぐ(父親からは受け継がれない)。リチャード3世の姉にはアンという人物がおり、アンから続く女系子孫は現代で2名の人物がいた。このアンと2名のミトコンドリアが一致すれば、遺骨はリチャード3世のものとほぼ確定する。

結果は見事に一致した。600年間、人知れず地中で眠り続けた王は現代科学によって蘇った。さらなる解析と骨格復元で彼の生前の顔が再現された。彼は金髪か茶髪で、眼は碧眼だった。その姿は当時描かれた肖像画とほぼ変わらぬカッコよさである。著作権の絡みで掲載できないけど、気になったら見てね。

…とまあ表のカッコいい話はおいといて、本題はここからである(ニチャア…)

「女系子孫しか辿れないの?男系子孫は辿れないの?」と思われたかもしれないが、大丈夫、男系子孫でもちゃんと先祖をたどる方法がある。これがy染色体の型の一致するかどうかである。

y染色体とは子の性別を決めるもので、y染色体は父親からその息子へのみ引き継がれる。しかも、その型はミトコンドリアと同じく、先祖の父親が同じであればずっと子に同じ型のものが引き継がれ続けるので、男系子孫をたどるにはちょうどいいのだ。

y染色体による男系子孫のリチャード3世との照合が行われた。リチャード3世のy染色体と同じものをもつ現代の人も存在して、リチャード3世の4代前のヨーク公エドマンドの父エドワード3世の息子(つまりヨーク公エドマンドの兄)であるランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの子孫サマセット家の人々だ。

サマセット家はリチャード3世から男系子孫として現在も続いており、この家系の子孫の男性5名とリチャード3世のy染色体が照合された。彼らとリチャード3世のy染色体は一致するはずだ。

結果…全員が一致しなかった。おまけに5名のうち1名だけ他の4人とも一致しなかった。これはどういう意味を持つか?

まず、エドワード3世からの子孫であるサマセット家の人間と、リチャード3世のy染色体が一致しなかったことについて。これは非常に危険な意味合いがある。

この2つが一致しないということは、エドワード3世からリチャード3世の系統(つまりヨーク朝)と、その兄の系統ランカスター朝(その子孫であるボーフォート家、サマセット家を含む)の系統のどこかで男系血統が途切れたことを意味する。

現代で照合を行った人物たちが最後に男系で枝分かれした先祖は18世紀の5代ボーフォート公である。リチャード3世の系統のヨーク朝も、その兄のジョン・オブ・ゴーントを始祖にするランカスター朝以降の系統も、どちらが正統な王なのかわからないということがわかったのだ。

つまり、リチャード3世らヨーク朝が正統な王であるのか疑われる。また、ジョン・オブ・ゴーントらランカスター朝のヘンリー4世ら、そこから続くテューダー朝のヘンリー7世の正当性も疑われる。そこから続くステュアート朝、おまけに現イギリス王室ウィンザー朝にも正統性が怪しい話が出てきてしまう。

Q.つまりどういうことだってばよ?
A.薔薇戦争以降の英国王室で、誰かの嫁が浮気して托卵したか、王家の人間じゃない男が王だと言って乗っ取ったってこったよ!!!

現代の5名のうち1名だけy染色体が違う意味についても同じで、彼らの先祖は5代ボーフォート公で枝分かれしたから、全員同じy染色体のはずなのだ…が、1人だけ一致しない。ということは、この一致しなかった1人と5代ボーフォート公の間の先祖のどこかでy染色体が置き換わっている。つまり…。

同じ父親から必ず引き継がれるはずのy染色体が引き継がれず、養子や婿を入れた記録もなく、にもかかわらずその家の人間ということになっている。

彼の先祖の母親もまたどこかで浮気して托卵した可能性が非常に高いのだ!ブルータスお前もか!!!

600年前の王様の遺骨が発掘されたら、先祖の誰かが不倫托卵した可能性が非常に高いという話を突き付けられたってどんなバタフライエフェクトだよ。

以上、最新科学って凄いって話でした。時間が経ってもバレる時はバレるのだ。これから先、托卵予定があるの人はやめたほうがいいよ、うん…。
おしまい

ちなみに、シェイクスピアがらみのイギリス王だとリチャード2世が個人的に「お前大泉洋の前世だろ?」って感じなのがかなり好き。

まあ実際は単なる托卵だったのか、旦那由来の不妊が原因で誰かと子ども作って夫の子ってことにしたのかは不明なんだけれど、どっちにしろ正史に書かれていない内容なので、色々想像ははかどるのである。王朝の血統を探るとこういうことがぽろぽろ出てくるのでそりゃ宮内庁は発掘許可せんよなと思う。

世継ぎ問題で揉める王と言えば、リチャード3世から王位が移った結果開かれたテューダー朝のヘンリー8世の下半身が当時としてもアレすぎたのは有名なので、「旦那の性格のせいで処刑されたくなきゃそうもするよな」とも思う。

fantia.jp/fanclubs/34782 「廃墟」「ひなびた風景」「異界」を主題に、日本各地の風景と人の姿、誰かの記憶を記録している旅の者。廃墟/街並み/近代建築/旅館/医院/民俗学など。19年初の個展開催。原稿依頼等承ります(連絡はDM/メールへ polaris453121@gmail.com)

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  3. 2021/05/22 02:52:32 公開
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