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「外務省は農商務省の依頼を受け、...」、@ksk18681912 さんからのスレッド

外務省は農商務省の依頼を受け、中国から大量の醤油がソース製造のためにイギリスに輸出されているという情報をキャッチ。

外務省、ヤマサ醤油、現キッコーマンなどが官民一体となって醤油の輸出を試みますが、中国製醤油に価格面で太刀打ちできません。

その原因は醤油樽にありました。

外務省は農商務省の依頼を受け、中国から大量の醤油がソース製造のためにイギリスに輸出されているという...

日本の樽は結樽といい、杉の板を竹の箍(たが)で縛って作った桶に蓋をしたものです。

醤油用の樽は、醤油に杉の香りがうつることを避けるために、いったん酒樽として使い杉の香りが抜けた中古の樽を、流用あるいは再生して使います。

一方、洋樽は杉よりも硬い樫の木を使い、鉄の箍(たが)で締め上げたものです。

非常に頑丈で、手荒く扱っても壊れません。

一方の結樽は、柔らかい杉を竹で縛ったものなので、壊れやすくデリケートな扱いが必要です。

強度を補強し保護するため菰(こも)をかぶせたり、縄で縛ったりします。

洋樽を扱いなれた欧米の船員や流通業者が日本の結樽を扱ったらどうなるか。

ジョン・ピットマンは、粗暴に扱われ醤油が漏出するため、巨額の損失を被る恐れがあると指摘します。

欧米に醤油を輸出するには、洋樽に詰める必要がありました。

七代目茂木佐平治(現キッコーマン)は、子会社東京醤油会社を通じて醤油の輸出を試みます。

その東京醤油会社が外務省に提出した「醤油輸出意見書」が、外務省外交史料館に残されています。

「醤油輸出意見書」によると、日本における洋樽製造コストは香港の2倍。

醤油自体は品質が同じならば”支那産ヨリ廉”なのに、洋樽の値段が高いために、中国産の醤油にコスト面で勝てないとあります。

なぜ香港では安く洋樽を製造できたのか。

それはアヘン戦争により、日本より一足お先に開国していたため。

開国によりワインなどの洋酒が輸入され、その中古の樽を流用して醤油用の洋樽を安く製造できたからです。

一方、明治初期の日本は洋酒の輸入が盛んではありませんでした。

そのため、洋樽を新規に製造する必要がありました。

ここに、中国産と日本産の洋樽製造コストの差が生まれていたのです。

『お好み焼きの戦前史』に書きましたが、大正時代には日本の醤油が欧州に輸出され、ソースの原料に使われるようになります。

おそらく、洋酒の輸入が盛んになったために、洋樽製造コストが下がったのでしょう。

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明治18年、ソース向けの醤油輸出を断念したヤマサ醤油は、すぐさまミカドソースを製造、輸出を開始します。

なぜミカドソースは開発されたのか。

それは洋樽のコスト問題を回避するためです。

瓶詰めのソースならば、洋樽作成のコストが不要だからです。

「醤油が売れないのならば、その醤油を使ったソースを売ればいい」

そのために生まれた戦略的商品が、ミカドソースだったのです。

なぜミカドソースは、当時のソースで使われていたアンチョビやケチャップを使っていなかったのか。

それは、醤油の輸出を主目的に作られた商品だからです。

また、アンチョビやケチャップを「国産」できるイギリスからこれらを輸入すると、イギリス産ソースよりコスト高になってしまいます。

なぜミカドソースはイギリスではなくアメリカで販売されたのか。

ソースの本場イギリスでの勝負は無謀。

一方、アメリカならばイギリス産ソースと戦えると判断したのではないでしょうか。

イギリスで勝負した場合、海上輸送コストがかかるミカドソースは、その分イギリス国産ソースよりもコスト面で不利になります。

しかしアメリカに輸出されていたイギリス産ソースは、ミカドソースと同様に海上輸送コストがかかります。

条件がイーブンになるのです。

残念ながら、ミカドソースの輸出は失敗に終わりました。

しかし、ミカドソースそのものは、「国策としての醤油輸出を目的とした戦略的商品」として、歴史的に評価されるべきと思います。

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  3. 2021/05/24 04:57:17 公開
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