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「次の大人のための国語セミナーに...」、@mentane さんからのスレッド

次の大人のための国語セミナーに向けて、「リフレーミング」というテーマについて考え始めた。人は世間を眺めて捉える枠組み、フレームを既に持っている。リフレームするということは、新たな枠組みをそこに導入する。物の見方、捉え方が変わるように誘導する。

誰にでも効果のある万能なリフレーミングというのは存在しない。リフレーミングを教えるのは難しいと常々思って先延ばしにしてきた。でも、今回、テーマとして設定されたので、真面目に取り組んでみることにする。

リフレーミングというのは最後の仕上げのようなもので、そこに至るまでの前段階がある。前段階をうまくやるスキルがないと、リフレーミングはうまくいかない。単なる無意味な説教と化してしまう。

まず見立てという段階がある。相手は今、何をどう考えていて、それがどのような行動につながっているのか?問題行動を引き起こしたり、解決行動を思いとどまらせる原因となる思考や感情パターンはなんなのか?そこを正確に観察、分析する。この見立てでズレれば、リフレーミングは無意味なものとなる。

そもそもこの観察と分析ができない人が多い。目の前の相手をあまり興味を持って観察していない。そして、観察していないという自覚もあまり持てていない。リフレーミングを教えるならば、そこから始めないといけない。

相手の中にあり、問題行動を維持するようなフレームを見つけたら、そのフレームを弱める。代わりに解決行動を引き起こすようなフレームをインストールする。ここに次のステップがある。

人が既に持っているフレームを手放し、新しいフレームを受け入れるというのは大きな変化だ。単に新しい知識を手に入れるという話ではない。リフレーミングが起こると今まで見ていた同じ事態が、異なる意味を持って見えるようになる。世界の見え方が変わる。こういう大きな変化には強い抵抗が伴う。

抵抗を避ける、抵抗を利用するというのは、昔からミルトン・エリクソンなどの催眠療法家が取り組んできたテーマであるため、その辺には技術と知識の蓄積がある。そもそも催眠誘導というもの自体が「意識による自覚的コントロール」から「無意識による無自覚で自発的な自動行動」へのリフレーミングだ。

その中に「リソース(資源)」という概念がある。人は自分のやりたいことをやり、問題を解決するために役立つさまざまなリソースを持つ。体験、知識、能力、性格、人間関係、資産、みんなリソースである。一見、問題行動を引き起こして見えるような行動パターンもリソースとなりうる。

エリクソンの治療例でこんなのがある。ある夫婦がいた。夫の両親がその夫婦の家に遊びに来て、一日中長居をする。それが妻にはストレスで胃がおかしくなり、食べたものを吐くようになってしまった。

エリクソンのもとに相談に来た妻は以下のように指示を受けた。「義両親が来る前にミルクをたっぷり飲みなさい。そして、義両親がくつろぐソファーの前で調子を崩してミルクを吐くのです。あなたは具合が悪そうにそこで倒れ込みなさい。両親が後片付けをするでしょう」

それを何度か繰り返した結果、妻が義両親の目の前で少し具合悪そうにお腹をさするだけで、彼らは慌ててすぐに帰るようになった。

妻がストレスで胃を悪くすることは問題となる症状と普通は考える。だが、これを義両親を追い払うための武器、ツールともみなせる。このとき、妻の胃がおかしくなることは立派なリソースである。

このように使えるものはなんでも使うという発想を「ユーティライゼーション(利用化)」という。リフレーミングを行うにはこのリソースやユーティライゼーションの感覚が重要になる。相手の中にある使えそうなものをなんでもうまく活用して、スムーズなリフレーミングを行う。

実際、エリクソンは妻に対して「自分は義両親に対して無力で苦しめられる被害者」というフレームから「自分は義両親を意図的に操作、コントロールできる支配者」へとリフレームした。実体験と共に。

リフレーミングとは別に言葉で何かを説得することとは限らない。相手のなかでリフレーミングが起こりさえすればよい。そのための方法は色々ある。指示や命令の形を取らずに、単に情報提供するだけでもリフレーミングは起こるし、ある体験をすることでリフレーミングが起こることもある。

前回のエリクソン研究会では、こんな治療例も扱った。敬虔なカトリック教徒である女子学生が授業中におならをしてしまい、教室を飛び出して、部屋に引きこもり、外に出られなくなってしまった。彼女はエリクソンに手紙を出し、三か月後にエリクソンと夜遅くこっそりと会った。

エリクソンは彼女がいかに敬虔なカトリックであるかを2~3時間かけてじっくりと聞いた。

次回の面接でエリクソンは言った。「あなたは自分が敬虔なカトリックだと言いましたね。では、どうして、神を侮辱するのですか?どうして神を嘲るのですか?あなたは敬虔ではないからです。神を嘲っておいて、自分のことを敬虔なカトリックと言うなんて、恥を知りなさい」

自己弁護をしようとする女子学生にエリクソンは解剖図を取り出し説明した。「人間はものをつくるのにとてもよくできています。あなたは、固体と液体と気体を保持しつつ、気体だけを下へ噴出するバルブをつくるという非常に巧妙にできた人間というものを想像できますか?」

「神がそうされました。あなたはどうして神が尊敬できないのですか?」

「私はあなたに、真剣で正直な神への尊敬の気持ちを示してもらいたいと思います」

「豆を少し炒めてください。それらは海軍では、ホイッスルベリー(笛腹)と呼ばれています。玉ねぎとガーリックを添えなさい。そして裸になって、大きな音や小さな音やけたたましい音や柔らかい音のオナラをしながら、部屋の中を跳ね回って踊り、神の御業を楽しみなさい」

彼女は実行し、一年後、彼女は結婚し、赤ちゃんがいた。エリクソンが彼女と会ったとき、彼女はエリクソンの前で「おっぱいの時間だわ」と言ってブラウスを開けて乳房をあらわにし、エリクソンとしゃべりながら赤ちゃんにお乳を与えていた。大きな変化であった。

この治療例というのは彼女が持つ「敬虔なカトリック信仰」をリソースとしてユーティライズし、カトリック教徒が持ちがちな性嫌悪的なフレームを完全にリフレームしたものだといえる。

敬虔なカトリック信仰がオナラをしたことを深く恥じ入らせ、引きこもらせたわけだが、問題を引き起こす原因になっていると見えるものをあえて逆手にとって利用し、オナラやセックスなどを過剰に恥じるフレームを神の御業として誇らしく思うフレームへと書き換えた。

これは彼女が敬虔なカトリックで、その強力な信仰心が彼女を引きこもらせてしまうほどであったからこそ、「神を馬鹿にするのか?恥を知れ」「オナラは神の御業」という話が通るのである。相手が既に持っている強力な思考の枠組みを利用してリフレーミングをかける。ここの見立てが何より重要だ。

これを教えろって話なんですよね。いやー、どこから手を付けたらいいですかね。ぼくはミルトン・エリクソンの治療例をたくさん読みこんでいく中で、こういうエッセンスが自然と自分の中に入り込んでいった。一人で読むのはなかなか大変なんだけど。だから、読書会をやっている。

#エリ研 ミルトンエリクソン研究会参加希望はこちらからどうぞ。みんなでエリクソンの治療例を読みながら、あーだ、こーだと検討したり、脇にそれたりしています。今はだいたい毎回顔出しているのは10人くらいかな。エリクソンの治療例は変なものが多いので楽しいです。

ミルトン・エリクソン研究会

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催眠を日常に応用して相手の無意識へ働きかけ、他者の成長や変化を援助したり、自分自身の願望を実現するためのコミュニケーション技術を解説しているサイトです。

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次の大人のための国語セミナーは10/24(日)にオンライン開催の予定です。テーマはリフレーミング。詳細が決まってきたら、また発表します。

あとエリクソンの治療例が面白いなと思った人は、こちらもどうぞ。

父による性的虐待から性嫌悪に陥った女性への催眠的アプローチ【ミルトン・エリクソン治療例分析】|mentane|note

(本文は全て無料です) 11月から月2回『私の声はあなたとともに』をテキストにエリクソン研究会(以下、エリ研)をオンライン(ZOOM)で行っている。 ミルトン・エリクソン研究会 催眠を日常に応用して相手の無意識へ働きかけ、他者の成長や変化を援助したり、自分自身の願望を実現するためのコミュニケーション mentane.net ミルトン・エリクソンとは20世紀の精神科医であり、従来の古典的な催眠...

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  3. 2021/06/08 09:14:34 公開
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