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「私の身体知は、カマドでご飯を炊...」、@ShinShinohara さんからのスレッド

私の身体知は、カマドでご飯を炊いたり薪でお風呂を沸かしていたりした世代と比べたらずいぶん少ないと思う。それでもって親が意識的にそうした体験を積むよう心がけてくれていたから、まだましな方なのかな、とは思う。私の同級生はすでにマッチに火をつけることができなかった。

今や、ライターで火をつけたこともない学生が多い。チャッカマンならやったことあるけど、丸い歯車回して火花を飛ばすタイプはどうやったら火が着くのか分からない様子。
また、角材をライターであぶれば、松明のように燃え上がると思ってる若者は結構多い。

先日著者がお亡くなりになった「ベルセルク」には、紙のこよりについた火で、柱のように太い木材に火をつけるシーンが出てくる。著者は火起こししたことがなかったのだと思う。たとえ油を塗ったとしても、油が燃え尽きれば火は消える。木材はそのくらい燃えにくい。これは身体知で会得するしかない。

木材が燃えるには、熱い灰がたまり、基礎温度が高い状態を維持できるようになり、燃える木材同士が輻射熱で互いに温度を高め合い、燃焼温度を維持し続けられるという条件が整う必要がある。しかも、酸素が必要なので空気の通りがよくないと消えてしまう。

しかし空気の通りがよすぎると、わずか10~30℃という冷たい空気が、数百℃という燃焼温度を劇的に下げてしまい、火が消えてしまう。だから、空気が持ってくる冷気を温め、燃焼温度を維持できる必要がある。そのために必要なのが、熱い灰。熱い灰がたまると、少々の空気では冷めなくなり、燃焼が続く。

子どもにうちわで焚き火を扇がせると、闇雲に強い風を送るばかりで灰を吹き飛ばし、空気の冷たさが打ち勝って燃焼温度より下がり、火が消えてしまう。だから、加減が大切。
適切な加減は、目見るのではなく耳で聞く。

うちわで風を送ると、ゴウッという独特の音が聞こえる。これが聞こえない場合、その風は無駄に燃焼温度を下げているだけ。聞こえる時は、酸素さえあればもっと燃えるのに、と、十分熱くてくすぶっているところに酸素を送れた証拠。このゴウッという音が大きくなる風の角度、強さを探す。

こうした身体知を身につけると、燃焼という現象がよく理解できる。中学校で燃焼は習う。燃焼には、熱、燃料、酸素が必要だと言われる。この中で、「熱」がバカにならないことがよくわかるし、三つともないと燃焼が起きないことが、よく理解できる。

今の若者は学力が足りない、とよく言われているようだ。私は、「遊び」が足りず、身体知が欠乏しているのが原因として大きいように思う。「火」は化学、科学の基本中の基本の現象で、昔はカマドでご飯を炊いていたからよく知っている。けれど今の若者はそもそも火を見てさえいない子もいる。IHI。

身体知が抜け落ちた座学は役に立たない。ある化学メーカーでは、「異常があったら知らせるように」と指示し、任せていたところ、若者は化学反応に明らかな異変が起きているにも関わらず、それを知らせなかった。大惨事になるところだった。なぜ知らせなかったのか?と聞いたところ。

何が異常なのか分からなかったのだという。これは身体知を持たないために、目のつけどころが分からなかったからだろう。
小さい頃、私はサルの顔が見分けつかなかった。だんだん慣れてくると、違いがわかり、個体を識別できるように。目の着けどころが分かってきたから。

身体知は、文字の情報だけでは会得できない。何度も何度も体感することで初めて見分けられるようになってくる。
赤ん坊は自分の身体がどこまであるのか分かっていない。試行錯誤の中で、腕の動かし方を学ぶ。
そうした体感的学習を経ないと、知識にならない。

便利な社会が広がった結果、身体知が抜け落ちている。身体知は、文字では決して教えられない。
近年、人工知能を発達させるには身体が必要らしい、ということがわかってきたという。身体がないとどうしても学習させることができないことがわかってきたらしい。

なのに私たちの学習は、文字面重視。身体知欠落。これは危険。
もっともっと、実体験を。失敗も、危険がない限りたくさんさせて。火起こしの失敗をしなければ、ゴウッという音がどれのことなのかも分からないのだから。

体験からくる身体知、大事!

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  2. shinshinohara
  3. 2021/06/14 17:07:56 公開
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